飛んで、マッスル

ライトウェイトなスウェットボディに前後4箇所のコブのような膨らみ。
前後に4つのコブが付いていようと、スウェットパンツ本来のリラックスした穿き心地は変わらない。
穿いている本人は力が抜けている。のに、側から見るとマッスル。
シュールでキュート、思わず目で追ってしまうような楽しいバランス。
それが、RANDYのMuscle。
“Muscle”と名付けられたスウェットパンツはその名の通り、筋骨隆々な男性の腕をイメージして作られたらしい。
まるでアメリカのキャラクター:ポパイのような。
そう、今シーズンのRANDY、飛ばしています。
と、2022年当時中台が紹介している。
当初は「飛ばしている」という印象だったMuscleも、この3年の間に「RANDYといえば」の代表作となったのではないでしょうか。その理由も穿けば納得。
このパンツは決してユニークなだけのつまらない洋服ではなく、穿いている本人、そして周りの人もくすっと楽しめる洋服なのです。

そんな「RANDYの代表作」を暫くぶりにMANHOLEに並べることにしました。
あるお店の為に作られた企画。
白い、真っ白、純白のMuscle。祐天寺の古着屋:Gabberのエクスクルーシブモデル。

僕にとっての知り合い、中台にとっての友達、そしてRANDYデザイナー:相川くんの仕事仲間であるGabber代表:コーギーくん。
彼が自身のお店の為にRANDYに制作を依頼したのが今回の白いMuscle。
「さて、僕は数年に渡り理想の白のスウェットパンツを探していたんですが、年々身体がデカくなるにつれ、そりゃドンピシャな物が見つかる訳ではなく、あれ、作ってもらやえんじゃね?と。そこで目をつけたのがこいつ。この白が欲しいとデザイナーの相川くんに相談したのがことの発端です。
僕の中でスウェットパンツといえば白。楽に履けるからこそ圧倒的に白。汚れを気にされる方も少なからずじゃ思いますが、汚れが目立つから白は良いと思ってます。人によって表情の違いが一目で分かるのも白。まずは白。
例えるなら初代ポケモンのケンタロスの技構成は、はかいこうせんが確定でそこから他のポケモンの兼ね合いをみて残りの技をどうしようかな、まずははかいこうせんから。といった感じでしょうか。
要は白マッスルを履いてからファッションが始めるということです」 - Gabber instagramより引用
発売日はGabber2周年当日の2024年2月5日。
渋谷から祐天寺に向かう東横線の車窓を白く染める、東京では一年に一度あるかないかの大雪の日。
靴のソールやつま先、パンツの裾でお客さんと共に店内に連れられた雪によりベシャベシャのGabber。
ベシャベシャの床と対照的な、吊るされた真っ白のMuscle。
ちなみにその日のGabberに古着は一枚も陳列しなかったようです。
陳列されたのは飛ばしている、というかピュアな気持ちで飛んでいる純白のMuscle。
「河上さん、僕このパンツを100本作ったんです。マッスルは絶対に白がええおもて。めちゃくちゃ自信あります。あるんですが、緊張してゲロ吐きそうですわ」と、コーギーくんが言っていました。(彼は岡山出身)
自信があるのもわかるし、マッスルは白がいいというのも、わかる。
緊張してゲロ吐きそうなのもわかるけど、目の前で吐かれても困るので「大丈夫だろう。まあもし残ったら、MANHOLEに並べちゃおっかな〜」と、伝えました。


さて、時は飛んで今。
2025年5月、中台がニューヨークに行くちょっと前くらい。
「そういえば、白いマッスルってまだあんのかな。このTシャツとか、良いよな」と、不意に思いついたので、中台に聞いてもらったところ、2日後にはMarsに用意されていました。
「受け取りにGabber行ったら、ちょうど相川くんもいたから説明しておいた」とのこと。
そういうタイミングも、バッチリだったみたいです。

「スウェットは白がええんじゃ!」という気持ちで真っ直ぐ突き進む
→思いっきり古着買うかー!って気持ちで向かったところ、待ち受けているのは白いマッスル
そんな、Gabberがお客さんを置き去りにしたあの夜が、僕はとても気持ちよく感じた。
結果的にみんな雪でずっこけることが出来たようなあの夜が、僕はとても気持ちよく感じた。
事実、集まったGabberのお客さんは(マッスルしようとしまいと)なんだかみんな、楽しそうだった。
あの時伝えた「残ったらMANHOLEに並べちゃおっかな〜」という言葉は、煽りの言葉でも慰めの言葉でも激励の言葉でも適当な言葉でもなんでもない。だから今、MANHOLEに白いマッスルは並んでいる。
ともすれば「差別化を図るため」みたいな賢そうな目的の為だったりとか「他のお店にはないもの」みたいな本来の目的を忘れてしまった企画も世の中にはある。
一方で、GabberのMuscleはどんなに汚れたとしても汚れていない。
潔く、真っ直ぐで、真っ白で、気持ちがいい。

¥52,800-(tax included)
僕らは自分がお客さんに渡したいものを売り場に並べる。
誰かのお店のものだろうが自分のお店のものだろうが、共感さえ出来ればどうだっていい。
仮に同じものだとしても、違う場所に並べば違う顔をする。その顔つきの違いに表れるのがそのお店の個性だ。事実、Gabberで見るMuscleとMANHOLEで見るMuscleは、全く違うものに見えるはずだ。
2024年2月、冬の終わりから2025年6月。
夏の日差しで再び飛んだ純白のMuscleを今、真っ直ぐに楽しんで欲しい。
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河上 尚哉
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