持つ意味

NAMACHEKOを取扱い始めた理由は、デザイン(ここでいうデザインというのは、寸法や数値ではない明らかなデザイン)されたテーラードを最初から今まで作り続けているから。
前のMARINA YEEの時にも書きましたが、僕には国内外の優秀な工場を頼っていくつかサンプルを持ち込めば作りの良い既製服を作ることは出来るかもしれないけど、ジャケットをデザインすることは出来ない。
で、ただ単純にデザインされたジャケットであればいればいいということではなく、テーラード然としていることも大事でした。それは「あなた(僕)が知らないだけで、こういう形やこういう作りのテーラードジャケットは昔からありましたよ」と、言われても納得してしまうくらいの塩梅。
つまり、目に見えてわかる派手さではなく、静かな新しさ。
テーラードでそれを作ることが出来るデザイナーであれば、テーラード以外のものでもそれを感じさせてくれるかもしれない。

NAMACHEKO:Osterly Bag。
カーフの表革とスエード。
きめ細やかに光る黒と、きめ細やかな光らない黒。


長さ調整可能な5cm幅のレザーストラップ。
で、蓋なしのシンプルな作り。
何も考えずに必要な荷物を放り込める、そして必要ないものは入らないくらいのちょうどいい容量。
口の閉まる鞄だと油断してついつい中が荒れてしまう僕のような雑な人間にとって「いつでも中身を見られる可能性」を持つ、適度な緊張感のあるバッグ。



鞄としての機能や「どんな場所にでも持っていける」という汎用性ではなく、カーフの表革/ カーフのスエードというコンビネーションが生み出す黒と黒の美しさを優先したような静かなデザイン。
機能性や汎用性に優れている鞄すら持ち歩かない僕らが探しているのは「持たずに出かけるよりも持って出かけた方がかっこいいのではないか」と思わせてくれる鞄。単純な話だ。
僕がこの鞄を見てまずイメージしたのは「今まで鞄を頑なに持ち歩かないようにしていた僕らのような人間でも、この鞄を持ち歩いている姿」だ。
持っていなくてもいいけれど、持っていても。
いや、持たずに出かけるよりも持って出かけた方がかっこいいかもしれない。








¥214,500-(tax included)
物を持ち運ぶだけならばなんでもいいけれど、物を持ち運ぶためのものは僕らに「持たない意味と持ち運ばないための方法」を考えさせる。
対して、NAMACHEKOのOsterly Bagは「持つ意味」を感じさせる。
持たない意味を考える時間があるならば、持つ意味を考える時間があってもいいはずだ。
つまり、手ぶらが好きだった理由と同じくらい、僕らは鞄を好きになる余地を残しているということ。
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河上 尚哉
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