パサージュ・デュ・シャンティエ

パリ12区、パサージュ・デュ・シャンティエにアトリエを構えるDechamps。
デザイナーはCamil Krings、そしてMirja Celine Hansen。
彼らの製品(つまり、我々のお店でお客さんに目にしてもらうもの)は基本的に全て先に書いた彼らのアトリエで作られる。量産工場ではなくアトリエでの製品作り。
用いる素材や付属も当たり前のように彼らの目と手で選ばれている。
それは最初から大量に生産することを目的としていない、非効率の道を意味する。
非効率的であるが故に僕らにとってのオーダーシート、お客さんにとっての値札には思わずスルーしたくなる数字が書かれている。
事実、事前に送られた資料に目を通した僕らは彼らのアトリエに向かう途中「ラグジュアリーブランド出身で今のインポートらしい金額のブランドかあ。なんか疲れちゃいそうだねえ」と、あまり前向きではなかった。僕らは僕らが欲しいものが欲しいだけで、決して良いものや高いものが欲しいわけではない。

ただ、Dechampsのアトリエを訪れた時に「この人たちはこれがしたいからこうしていて、だからこれが出来上がっている」という事を感じることが出来た。パリ、行ってよかった。
「ラグジュアリーブランド出身」という経歴はただの下駄ではなく二人の軌跡、それがDechampsにしっかりと繋がっている。つまり、彼らは彼らの道を彼ら自身で選んだということだ。

ブランド名であるDechampsはカミルの先祖にあたるポール・デシャンによって1872年に設立、運営していた家族経営の織物工場「Dechamps Textil AG」に由来する。
「運営していた」と書いた通り、2005年に閉業したそうだ。
Dechampsを立ち上げる前、彼らは工場があった場所を訪れる。
その際、その場に多くのアーカイヴが保存されているのを彼らは発見した。
実際に、1890年代にポール・デシャンが作成したサンプルや指示書のような資料を見せてくれた。
彼らは今後、先祖が遺した織りパターンや生地を再現できるテキスタイルメーカーを見つけ、Dechampsのアトリエで作る製品に加えていきたいと言っていた。
つまり、1872年から2005年を辿った道が、また繋がろうとしている。

アトリエ・シャルドン・サヴァールのベルリン校にてカミルはテーラリングを、ミリヤは革製品を専攻。卒業後はそれぞれがその分野に特化した道に進む。
カミルはエディ・スリマンの元でCELINEのテーラードウェアとアウターウェア部門を。
ミリヤはISABEL MARANTのレザーグッズデザイン部門を。(そして現在もHélène Nepomiatziのレザー製品や家具のデザイナーを務める)その後2023年、二人でDechampsを立ち上げた。

Dechampsのアトリエはパリ12区、パサージュ・デュ・シャンティエにある。
パサージュ・デュ・シャンティエとは、17世紀には建築や造船の木材置き場として使われ、現在はアンティーク家具店や職人の工房が集まる小道だ。
そしてその小道は、バスティーユ広場へとつながっている。

さて、彼らが彼らのしたいことをした結果を良いと思ってしまった以上、彼らが彼らのしたいことをする未来を良いと思ってしまった以上、僕たちが出来ることは簡単。
ただ、買うだけである。MANHOLEのお客さんに紹介したい。
彼らの目の前には道がある。その道がどこにどう繋がるのかを、僕らは楽しみにしたい。
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河上 尚哉
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