個人的なシャツ

シャツ。シャツは自分にとって「着たいな」というタイミングと「全然着たくない」というタイミングが分かれている洋服で、今はどちらかというと「着たい」寄りのタイミングですね。
ただ、探すまでもなく目の前にあったら着たいな、くらいの感じ。
というわけで今期は目の前に「いいな」と思うシャツがあったら仕入れるようにしています。
このFIGARET PARISのシャツ:Carlもそんな感じ。スタンドカラーの開襟リネンシャツ。
で、「ヨーロッパでは秋冬も普通にリネンのシャツを着る」みたいな話はおいておいて、気候のイカれた日本においても割とスタンダードな感覚になりつつあるのではないでしょうか。秋冬にリネン。
ここで非常に個人的な話をすると僕は夏に着るリネントップスは湿度を吸い込んでベタベタするので湿度の少ない時期に着るリネンが好きです。パンツは我慢できる、というかリネンのパンツを風が冷たい時期に着ると普通に寒いので「リネン≒今の日本における通年素材」というより「リネンのトップス≒今の日本における通年素材」のようなニュアンスでしょうか。
まあ、そんな現実的な話もおいておいて。
単純にリネンのケバシャリした感じと秋冬のもけっとした感じの組み合わせは悪くない。

さて、FIGARET PARIS。
1968年に創業したフランスのシャツ専業ブランド。
今回MANHOLEで仕入れたのはどうやらFIGARET PARISではストーリー溢れるアイコニックな形のようだ。
「Carl」と名付けられた襟幅3.5cmの立ち襟、そしてトップボタンを廃した開襟仕様。
-The Carl shirt is named after a customer who suggested the idea during a visit to our flagship store on Rue de la Paix. This is the story of a refined man whose input we valued when designing this open-necked shirt, now named after him. Its straight, open collar (3.5cm, neither too thin nor too wide) complements fabrics such as poplin, oxford, linen, or even denim beautifully.

で、Carl。
「創業60年近いシャツ専業ブランドが作ったそれ」というよりも「デザイナーズブランドが作ったそれ」のように見える顔付きがとてもいいな、と僕は感じました。
つまり、このシャツから感じるのは伝統的な何か、ではなく、もっと個人的な何か。
思えば、FIGARET PARISが創業した1960年代はそういう時代だったのかもしれません。
「人は自分が生まれついた階級に一生とどまっていなければならない」という前提を吹き飛ばしてしまった戦争。それが終結することにより「父親と同じ格好をする子供」から「父親と違う格好をする子供」へ徐々に移り変わっていった1930年代から1950年代。
すなわち、若者達にとって「自分が着る物は自分で選ぶ時代」が訪れました。
退屈な毎日を少しでも楽しく過ごすための音楽、服装、映画、場所。


「じゃあ、悠人あと書いておいて〜」と言いながら河上さんは外に出かけていきました。
MANHOLEに取り残された吉田は考えます・・・・・・
このシャツが「創業60年近いシャツ専業ブランドが作ったそれ」だということは事実。
しかし河上さんには「デザイナーズブランドが作ったそれ」のような顔つきがよく見えた。
でも結局じつは「創業60年近いシャツ専業ブランドが作ったそれ」です。
創業60年-フランス-専業 、そう聞くと「正しい着方」なるものがあり則らないといけないのかもしれない、そんな知識不足(たとえばぼくのような)から来る不安があるかもしれない。
でもいったん、「これ、カッコいい!」と素朴に直感するものとして所謂デザイナーズブランドのパワーみたいなものをフィルターにかけてみると、あら不思議。
創業60年-フランス-専業 のいかめしさが翻ってとてつもない寛容さに見えてくるではないか。
この銅像、ちょっとくすぐったところで何も感じないでしょうね、じゃ、勝手にやらしてもらいます。
そう、このシャツは歴史あるシャツブランドが作った極めて個人的なシャツ。
勝手にやらせてもらうくらいがちょうどいい。


「Carlさんと話していて生まれたんです、このシャツ。良いでしょう?」
そんな風にも読めるオフィシャル説明。
「おぉ、良いですね!」
こんな風に応えたい。

ぼくは個人的に「リネンシャツ」と聞くとある友人を思い出す。
彼は冗談めかしてリネンハンターを称していた気がする。アイツならどうするだろう、とりあえず砂漠をラクダと闊歩している姿が浮かんできた……アイツは参考にならない。
Carlさんはどんな感じに着ていたんだろう?

もし中がふつうのドレスシャツだったら、タックインをしないとなんとなく心の収まりが悪いかもしれないこんな着方も、できる。というか自然にすることが出来る、そんな軽やかさ。
「シャツは本来肌着なんだから、タックインしないとダメだよ」とか誰かに言われても「いや、これはカールさんのシャツなのでそういうのはどうでもいいです。タックインしたい時はするし、したくない時はしません」


もしいつもの白TがCarlだったら……
そんな極端な想像をしてみても、それがいささか極端ではないことに気付かされるだけなのかもしれません。
ケバシャリリネンが盛夏に出会うことの無かった素材、形、なんの気なしに出会って良さそうです。



とは言いつつも、やっぱり納得佇まい。クラシックな色気。
「まあ、そりゃあ創業約60年のシャツ専業ブランドの作るシャツですからね」
その時々に都合よく開き直る、そんな軽率さも微笑んでくれそうなシャツです、Carl。
自分の都合の良いようにどうぞ。

Size : L, XL ¥36,300- (tax included)
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