架空のパサージュ
本日はrenomaのコート:Bourg L’Abbeを紹介いたします。
表地は綿100%のコットンギャバジン、MANHOLEではお馴染み「ぺらぺらのコート」に類するコートだと思います。
が、袖裏以外の裏地、襟裏、袖口にはDOUEMEUIL社の英国製ウール生地が用いられています。
ちょうど、秋からダウンジャケットに身を包んだ極寒の今から少し経過したまあ寒いころ、そこから肌寒い/ほの暖かい春先まで。中に着るものや首に巻くもの次第でさまざまな想像ができそうなコートであります。ついでに書くとバルマカーンコートはVゾーンが存在しない洋服。お気に入りのパンツを穿いて適当なインナーを着て履きたい靴を履き、一番上の釦さえ閉めれば近所のコンビニから銀座や表参道まで出かけることが出来ます。
たっぷりとしたアームホール、ちょうど肩パッドが忌み嫌われ始めたくらいの癖のないラグラン袖。
あとは、外側につけられた8つのポケット。横に倒したら無限のポケットがついていることになります。
無条件で気分の上りそうなすばらしい赤色。真紅というよりかは朱色に近い赤。
ちなみに[Bourg L’Abbe]と検索すると、”Passage du Bourg l’Abbé” というフランスのパサージュが出てきます。パサージュというのはアーケード商店街の元祖みたいな感じだと思います。街を歩いていると突如現れる不思議な抜け道。どこかへ伸びていくアーチ状の天井に軒を連ねるのは無数の店々。あ、このコートのポケットみたいですね。
それでは大人の階段ならぬ大人のパサージュを行ったり来たりしてみましょう(?)

まずは父編(?)。2060年くらいだと思います。ちなみにこの数字には何の意味もありません。
未来ということです。

おもむろに、雑誌片手に父は、

椅子を見つける。椅子があったらとりあえず座るだろう。
山があったら登る。坂があったら降る。瓶コーラが売っていたら買う。
休める時に休んでおく、それも技術のうち。

せっかく腰を下ろしたし、いつ買ったのかもなぜ手に持っているのかもわからない本でも眺めよう。
眺めたら眺めたでおもしろい。なんだかいい感じの写真が並んでいるし、おもしろい。本はおもしろい、のだが……

袖が長え。歩いているときに長いのは特段気にならんがページをめくるとなると急に邪魔くせえ。
いい赤なのに。このままだとこの赤も嫌いになっちまいそうだ。くそ。
『パパ、落ち着いて。袖をまくればいいんだよ』

ああそうだ、袖をまくっちゃえばいいんだな。なんか遥か遠くから声が聞こえた気がするがそんなんは知らん。単純なワンアイデアだ。このコート、薄さにしてはやけにあたたかい気がすると思ってはいたものの、裏地がウールだったのか。渋くてキュートな千鳥格子、もっと早くまくっておくべきだったのかもしれん。


うむ。まくったおかげで快適にめくれる。うむ。
む?

風がつええ。なんだか知らんが強風に煽られる。寒い。というよりもムカつく風、つまり春風だ。
ムカつくことには、落ち着いてクールに対処していきたいところ。
……クソ!ムカつく!全てに腹が立ってきた!飛び越えて蹴っ飛ばしt…
『襟』

……なーんちゃって、腹が立ったついでに襟も立ててやったぞ。


父のベロアジャケットもrenoma、
穿いているrenomaのグレーフランネルスラックスと着ているLeonardというシャツは昔、南青山にあったMANHOLEというお店で買ったらしい。
なんだ、急に季節が変わったのか。歩いていると汗をかいてきた。少し暑いぞ。
テキトーに裏っ返して持ち歩いてこんなに気分がいいコートもそうあるまい。いいコートだ。
これはいつか息子がクローゼットをゴソゴソして「なんだ、親父いいもん持ってんじゃん」と勝手に着て出かけること間違いなしだ。時を経てもダメになる理由が見当たらない。
息子はまだ幼く、うんことちんちんとおっぱいが人類の持つ言葉の全てだと思っている節があるが、まあそれは時が解決するだろう。いずれにせよ、どんな時もあいつが結果的に楽しく過ごし人様に迷惑をかけていなければ、それでいい。

・・・・・・時は過ぎ

「はーいそれじゃまた……え?ああ、これね、いいですよね、このコート!父のなんですよ。ありがとうございます、はい、それでは!」

椅子がないので、若者はそこらへんに座ります。
若者はどこだっていいのでしょう。気が向いたら立ち上がって歩き始めましょう。

堅苦しいおじ……大人の人たちが、いいコートとかジャケットのポケットには物を入れるな何故なら形が崩れるから!などと言うのを耳にしたことがありますが、オヤジもそうだったのかしら。まあそんなことぼくには関係ございません。だってぼくがポケットのついた服が好きなのは、手ぶら族だから=ありとあらゆるものをつっこみまくれるから!
「あーお兄さんすいません、ちょーっと、いいかな。カバンの中身見せてもらえる?」
「あ、カバン、ないです。」
「ああ、じゃあ、はい、ポケットみして。」

「えーとここにはAirPods。」

「これはー……なんかのレシートと母ちゃんがなんかあった時に使えと渡された旧札の千円、と予備のイヤホン。最近はこれセブンに売ってるから助かるんですよね。」
「いいから、全部見せて。」

「たばこスマホスマホの充電器サングラス母ちゃんから持たされたハンカチぼろぼろの文庫本財布手袋、えーと、あとはー……」
「あーわかりました、もう大丈夫。あんまり遅くまでウロウロしてないようにね。何をしてたの、こんな遅くに」
「え、コンビニですよコンビニ。そんでこの後銀座か表参道まで歩こうかなと思ってます。」
「え?」

裏地がかわいいから、表参道まで歩いていこう。なんか久しぶりにイベントにでもいこうかしら。
テクテクテクテク……

夜とはいえ、さすがにこれだけノンストップで歩くと汗かくなあ。せっかくシャワー浴びてきたのに、ま、いいか踊り明かそう……
パーカー1枚じゃあなんだか気分が上がらないな、逆に中を脱ごう。ポイ!


タンクトップの上にこれでよし。
これでも絶妙に釣り合いがとれるのも、ぺらぺらの強み。
『ほう、自由な着方でよいのう、息子よ。オマエらしくてよし。たまには俺のジャケットも着てみてくれな。遊びはほどほどにな』

遊び果てた彼は、服を脱ぎ捨てシャワーも浴びずに眠りについたと……さ。
チャンチャン!

Size : 48,50. ¥152,900- (tax included)
renomaのバルマカーンコート:Bourg L’Abbe。彼らの、そして時代の通り道。
クラシックをカジュアルに笑いカジュアルをロマンチックに飾る新しい発想、美意識、自由な遊び心。
この洋服はrenomaがそのままの態度でその道を踏み抜いてきたような、2020年代のrenomaだ。
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