MANHOLE 2019AW PREVIEW “CLASS”
「好きなものしかつくらない。」
その言葉の通り、商業的な匂いを全く感じさせないモノづくりは、洋服が本当に好きな人達の心を強く惹きつけます。
トレンドであろうがなかろうが。
今の自分にフィットするもの、着たいと思うものを、物怖じすること無く作る姿勢は、いつだって新しい流れを自然と作り出してしまう様な強さを感じるのです。
クラシックな洋服から、出どころのわからないストリートな分野まで。
デザイナー自身の引き出しの多さに、ハッとさせられる部分が本当に多い。
着て楽しむこと。
見て楽しむこと。
聞いて楽しむこと。
触れて楽しむこと。
知って楽しむこと。
大げさでもなんでも無く、僕は洋服の楽しみ方の大半をこの人から学びました。

< CLASS >
デザイナーは堀切道之。
– 恒久的なアイテムをアヴァンギャルドに、アヴァンギャルドなアイテムをリアルクロージングに。

CLASS 2019AW THEME < BLIND >
1917年に発行された「BLIND MAN」を軸に、価値の転覆、視覚的無関心、考える芸術など、マルセル・デュシャンの思考をファッションに置き換える。
既存のファッションフレームから外れ、自由で楽しく、着ることでしか得られない現代のリアリティを追求したコレクション。

こんにちは。
MANHOLEの河上です。
映画は好きだけど基本流し見。
好きな映画こそ何度も見るけど最後まで見たことがある映画は数える程しかない。
音楽も好きだけど、アーティスト名とか曲名とか全然覚えられない。
写真も好きだけどパラパラめくって、視覚的イメージとレイアウトだけ切り取る様な感じ、意図とかあまり汲み取れない。
本も読むけど斜め読み。一気に読み進めてあー、面白かった。なんて思うけど題名も内容も全然覚えてない。
全部ぼーっと眺めて、心に響く部分だけ残して後で記憶の中でちゃんと考える。
今回お店を作るにあたって、色々な新しい分野にハマってしまったけど、きっと全部そんな感じ。
僕の中で、洋服のイメージを形付けるのは、いつも目の前の人。
何かを勝手に吸収するとしたら銀幕のスターでも無いし、雑誌のモデルでも無いし、インスタグラムの白枠の中にいる人でも無い。
目の前にいて、動いている人。
ただ目の前にいるだけで、何かを語りかけてくる人。

























他の人の考えっていうのは本当に面白い。
なんでこうなんだろう?ってまず自分の中で考えた後に、直接聞く。
その答えが自分の中で想像していなかったものだと、それだけで得るものがいくつもある。
「好きなモノが共有できる。」っていうのはもちろん大事だけど、
「自分が知らないことをたくさん知っている。」っていう人の方がよっぽど楽しい。
「自分が知っていると思っていた物の、その先を知っている人」なんて出会えたら超絶ビビる。
僕たちが売るものは、基本的には洋服。
しかも別に生きるためには全員が必ずしも必要とするものではない。
どちらかというと触れた人の普段の日常をプラスアルファで豊かにするようなもの。
CLASSの洋服は、着てみないとわからない。
いや、むしろ着てみてもわからないものも多い。
だから、なんとかしようと考える余地がある。
考えた先の、その人のその時のナマの答えを見られることが僕は楽しい。
だから僕は自分でお店をやろうと思いました。
自分が知っていると思っていたものが目の前で変化していくこと。
わからない事だらけのこの世界は、本当に辛く、本当に楽しい。
河上 尚哉