象の革
MANHOLE 2019AW PREVIEW ” F.LLI Giacometti “
F.LLI Giacometti。
それは世界中の伝統的かつクラシカルなシューズに対する敬意、そして高いサンプリング能力と、イタリアの確固たる技術・経験の融合により生まれる実用性/ファッション性/独自性溢れるシューズブランド。
こんにちは。
MANHOLEの河上です。
本日紹介するのは象の革を使用したローファー。
“クリーンなイメージ”があった前職。
さすがにエキゾチックレザーを並べるのはどうなのかなあ、なんて自分なりの葛藤もあった為、仕入れる事はしませんでした。
個人的に日常的に履く革靴にあったら良い要素として、
・ある程度手入れしなくても大丈夫
・雨に強い
・頑丈
の3つがあると楽だなあ。なんて考えながら買い付けをしているし、僕のお客さんもそれに共感する方が多かったです。
「象の革」はそれに漏れなく当てはまる。
コンクリートクラックのような腑も最高に格好が良いし、水に強くて丈夫だけどほぼ手入れが必要ない。
繊維質はふわふわしているから軽い。
象の革をあてたのは、”LUIGINO”というF.LLI Giacomettiのローファー木型。
F.LLI Giacomettiの靴は、それぞれの形に応じてベストな木型を使用し、新型に関してはサンプルを作ってから更に細かく微調整を行います。
当たり前のように感じますが、実はシューズ木型を使用してローファーを作っているシューズメーカーは多いです。
「面はローファーだけど、フィッティングは紐履。」
なんてローファーが多いから、どんなにサイズを正確に履いても踵が浮きやすかったり靴が笑いやすかったり。
数年前からリリースされているLUIGINOのエレファントローファー。
初期の頃は「象革はモカ縫いが出来ない。」と、されていたのですが、最近はモカ縫いが出来るようになりました。
以前のブログでさらっとモンキーブーツを「面は細いけど無骨、ゴツさはあるけどエレガント」とお伝えしましたが、このエレファントローファーも同じような感覚。
「やっとお客さんに紹介できる〜!」なんて気持ちで意気揚々とオーダーしたこのシューズですが、お店に出る前に売り切れてしまいました。
靴はサイズもあるし、この値段だし、この数あれば足りるだろ〜。とか全然甘かったです。
賛否両論ありそうなエキゾチックレザー。
最近は「サステナブル」というファッション業界の大きな流れや、海外ブランドの中には動物性皮革の使用を一切やめるという動きも出てきています。
革の鞣し技術を持つ職人や工場も減ってきており、皮革自体の供給や価格バランスも大きく変化しようとしています。
現在市場に流通出来る「皮革」は全て食用として狩猟された動物達の革。
その為、近い将来には一切流通しなくなる可能性があるものでもあります。
「既にあるもの」を有効的に使用することは有意義だけど、「お金に変わるもの」として捉え始めるとそこに意味は無くなるような。
自分たちが単純に「かっこいいなあ。」と思う視覚的イメージや、有用性の先にあるものを考え始めるきっかけになるシューズ。
河上 尚哉