インドの手仕事と水漏れの話
中台が買い付けに行っている間、写真を撮る相手も撮ってくれる相手もいないから自分語りをしていたんですが、流石に書く方も読む方もしんどくなってきたので久しぶりに商品紹介を。

「河上くん。頼まれていたもの用意しているから、事務所一回来てね。」
MANHOLEレセプションパーティの際に錚々たる顔ぶれを引き連れてお店を訪ねてくださったPERIOD FEATURESデザイナー:津村さんはそう言いながら去っていった。
「なんのことだろう?」
なんて思いながら、事務所にお邪魔した際に渡されたのがこのシャツ。
僕はあまり自分がオーダーしたものを覚えていない。
納品された時にお客さんと一緒にビビりたいからあまり写真も撮らないし、ましてやオーダーシートをお客さんに見せることなんて絶対に無いっていうのもあるけど、今シーズンは特に会社作り/お店作りに関して自分が経験したことの無い出来事を自分一人でこなしていたので、特に抜けている部分が多い。

” PERIOD FEATURES “
Strip Patchwork Shirt by Hand
¥58,000+TAX-
< PERIOD FEATURES >
僕がこのブランドを知ったきっかけは近隣のお店で取り扱っていたからだし、津村さんも近隣のお店経由で知り合った方。
その為、MANHOLEで取り扱うつもりはなかったし、このシャツも顧客さん相手に裏から出して売ろうかな、と思っていましたが。。。
先日改めてこのブランドの持つ” 役割 “を聞き、「お店で紹介したいなあ。」と思ったので来シーズンより型数を少しだけ増やしていきます。

インドの伝統的な手仕事。
王族しか着られないような、時間も素材も贅沢に使われた生地を用いることの多いブランドですが、決してそのラグジュアリーさをウリにはしていません。

インドという国は、国の政策としてこういった伝統的な手仕事を大事にしています。
もちろん”国の伝統的な仕事を守る”という側面もあるけど、どちらかというとインドは人口が非常に多い為そういった人々に仕事を与えないと、貧困化が急激に進み暴動が起きるから。
彼らはアウトプットや売り方を知らずに、ただひたすら作り続ける。
どんどん時間と労力と素材をかけた生地を倉庫に積み上げていくだけ。

PERIOD FEATURESデザイナー:津村さんはそのような” 伝統的な手仕事により作られた、ただ積み上げられていく素晴らしい生地 “に目をつけた。
そこからまた、現代的に、人に着られる洋服を作っていく作業。

「この生地いいな〜!って思って、また同じものを作らせると全然ダメなんだよね。」
と、津村さんは言う。
” 売る為に作る “という根本的概念の少ない彼らは、すでに売れたものに愛着を感じないのだろうか。
100% → 80% → 60%というようにどんどん手を抜いていってクオリティが下がるそう。

生産をコントロールする方は大変だろうな〜、なんて考えながらも、僕はそれがすごく自然なことだと感じました。
既に価値の出たものを再び作ることは、ただの作業になる。

インドという国としての役割。
伝統的な手仕事を行う現地の人間の役割。
それをアウトプットとして形にする津村さんのような方の役割。
そして、それを受け取って、人に伝える僕ら現場の人間の役割。

もちろん単なる民芸品ではなく、着るための洋服。
着用写真を載せたかったのですが、セルフタイマーの間を棒立ちしながら待つのが辛かった為やめました。
生地の配置/ステッチの配色。
感性のみで作られる、狙ってやっていない自然な感じが素晴らしく良いシャツです。
是非実物を羽織ってみてください。
あ、自然といえば昨日の台風でMANHOLEは浸水こそしないものの(高台なんで。)、コンクリートの躯体の老朽化による水漏れが発生しました。
まあ古い建物だからしょうがないかなあ。

ある程度対策はしていたので、商品の被害はゼロ。
人間がどんなに抗おうと、自然の力には敵わないですね〜。
なんて、このシャツを紹介しながら思ったり。
自然のパワーにも敵わないし、人間のパワーにも圧倒される瞬間がある。
お店の水漏れもMANHOLEだからしょうがないよね〜。(もちろん対応はしてもらいますが。)
と、少し悟ったようなことを思いながら今日の水漏れに対するモヤモヤとしたストレスを消化しましたが、この苦労を共有する相手がいないのはやっぱり寂しい。
中台、早く帰ってこないかなあ。。。

河上 尚哉