さいきょうの
こんにちは。
MANHOLEの河上です。
僕はぺらぺらのコートが好きです。
致命的に暑がりというのもあるけど、持っているコートはどれも「暖かそうだから、便利そうだから買った。」というものがありません。
あと、僕は自分の雰囲気に無いものを生地感に頼る部分があります。
「着ると疲れてしまうんじゃないか。」と感じるようなハチャメチャに重々しいコートも好きです。
確かに着ていると疲れるけど、一度気分がハマるとずっとそればかり着てます。
結局僕らにとって洋服はただの飾りに過ぎません。
適当に着れて適当に過ごせればなんでも良いんです。
なんで着るのか、という理由は「どこかをかっこいいと思うから。」だし、何を基準で選ぶのか、という理由も「どこかをかっこいいと思えるか。」
似合う似合わないは着続けていればどうにかなるし、足りない機能は他で補えば良い。
現代の東京で1日中コートを羽織っている瞬間なんて滅多に無いし想像もつかないので、防寒性や防風性、収納性や利便性といった装備的な要素を追求するのであれば、ACRONYM®︎に頼るくらい極端な選択をした方が良いと思ってしまうのです。



CLASSのリサイクルナイロンを用いたガスケープコート:SHELTER。
FRANK LEDERのRubberized Cotton Coat。
ACRONYM®︎の3L GORE-TEX PRO INTEROPS JACKET。
どれも違うデザイナーの異なるアプローチから生まれた洋服。
ですが、3つとも共通する部分があります。
それは、自分が気に入って着ている内に、買った時には認識できなかった良さに気付けるという点。

あったら良いものが無くて、無くても良いものがあるCLASSのコート:SHELTER。
生地、形、ディテール。
全てにおいて違和感を覚えさせるのですが、着た時の印象はとにかくかっこいい。
「とにかくかっこいい」と感じる事さえ出来れば、それだけで他の不都合は全て吹っ飛んでしまう事に気付けるような洋服。
むしろ着ていく内に、その不都合すらも好きになる可能性のあるコート。

最初からどこかヤレた印象/大ぶりで男性的なステンカラー。
大きな襟型と極端に襟下がりのつく女性服のようなディテール。
着用を重ねる内に徐々に削り取られていきそうな儚さのあるゴム引き加工。
無骨さの中に繊細さを感じられる洋服。
夏の暑さで一瞬は存在を忘れても、秋になったらまた着たいと思えるコート。
そんなこんなでとりあえずざっくりと羽織っている内に雰囲気が増すことに気付くはず。

そしてACRONYM®︎。
0から10までデザイナーの美意識と拘りによって作られた洋服。
複雑で立体的なパターンにより生み出されるストレスの無い着用感。
悪天候の際に最大のスペックを発揮する生地、各ディテール。
そしてアイデア溢れる各機能は、実際に試してみた際に他の洋服に感じたことの無い楽しさを感じるはず。
ただ、僕が着れば着るほど気付いた点。
ストームフード:被らない。
エスケープジップ:使わない。
ヘムエクスパンションジップ:使わない。
グラビティポケット:使わない。
ジャケットスリング:使わない。
Bagjackとの互換性:使わない。
たくさんのポケット:使わない。
そう、この洋服の持つ機能の大半は僕の生活に全く馴染まないのです。

一方でNYに買い付けに行った際、そういった機能が役立った際はとても感動しました。
風が強く寒い上に雨と雪まで降ってきた際に活躍したストームフード。
携帯は入れなかったものの、カード類を収納するのに便利だったグラビティポケット。
室内に入った際にジャケットを身から離さずに両手で作業することが可能だったジャケットスリング。
手ぶらで外をぶらぶらするのに役立った数多くの収納。
それ以降、ACRONYM®︎は僕にとって非日常に備えるような洋服。
各ディテールの使い方だけ把握して、普段は眠らせて、使える時に最大限活用する。

ACRONYM®︎
” J1L-GT ” [ 3L GORE-TEX PRO INTEROPS JACKET ] ¥326,000+TAX-
シェルとしてのスペックも最強、値段も最恐。
「足りない機能が無い」故に、その機能を活用する機会に欠けた洋服。
だからこそ、僕らはこの洋服を普段の装いに合わせて提案したい。
日常的な生活において気付くこと。
非日常的な場面において気付くこと。
そのギャップが大きくなるほど、ACRONYM®︎の魅力を感じられる可能性が広がっていくと思うのです。

それは常に進化し続ける、究極のトラベルウェア。
河上 尚哉