鮮烈的コート
MANHOLE 2020AW Preview – なにもしらない –
” cantate ” – COWE TRACK PANTS –
こんにちは。
MANHOLEの河上です。
僕の中で「千鳥/グレンチェック」と言えばこの人:Tommy Nutter。
僕のあっさ〜い見識ではこの人の説明が上手く出来ない。
気になる方は調べてみてください。
洋服屋で働き始めた当時、もう10年くらい前。
お店のストックルームに置いてあった「メンズウェア100年史」をパラパラしてたら目に止まったこの写真。
どうやら「トミー・ナッター」という人らしい。
暫くしてこの人の凄さに気付いた。
数年後に、当時のTommy Nutterや同年代のジャケットを実際に着ることが出来て、そのかっこよさに感動した。
それだけの話。
2020AWシーズンはcantateのインラインの商品を一部買い付けています。
コート1型/スーツ1型。
昨日紹介した” COWE TRACK PANTS “は、「僕らがこの千鳥のコートに合わせるとしたらどんな洋服なんだろう。」と考えた結果、企画することになった洋服。
半年前の展示会の際。
「派手な千鳥のコートがあるな〜。」なんて見てみたところ、生地が変。
なんか白場が光ってる。
少し話を聞くと、シルクの絹紡糸の4本撚りと梳毛ウールの太番手を使用して織り上げた千鳥格子らしい。
白場はシルクのシルクの絹紡糸の4本撚り。
黒場は梳毛ウールの太番手。
触ってみて更に違和感。なんかドライで滑らか。
僕の千鳥格子やグレンチェックの生地のイメージは、チクチクしてごわごわした触り心地。それがいいんだけど。
カシミヤ等を使っていても、しっとりとした風合いになる。
こんな触り心地は体験したことがない。
着てみたところ、背中にハギがなく一枚の生地を使っていることに気付いた。
動くたびに歩くたびに裾が綺麗になびく。
首/肩/背中でコートの重さを支えることが出来るので、コートの心地よい重さを体全体で感じることが出来る。気分が良い。
「めちゃくちゃかっこいいじゃ〜ん。」なんて思ったけど、柄/生地/ガーメントの雰囲気はどう見てもラグジュアリー。
理由があって値段が高い洋服を売ることには全く抵抗が無いけど、このどう見てもラグジュアリーな感じをどうお店に馴染ませようか。。。
なんて考えてたらオーダーのリミットが迫ってきたので、とりあえずオーダーしておいた。
洋服の着方は、まず物を買ってから考えるべきだと思っている。
というわけで、この僕たちらしくないコートのラグジュアリーな雰囲気を、ジャンプするかしないかのギリギリのラインくらいで地に足をつけて僕たちらしく着るために作ったパンツ。
それが” COWE TRACK PANTS “です。
これは提案の一つなので、別に気にする必要はありません。
ジャージはジャージなので、なんでも合わせられると思います。
ただ、このパンツは普段自分が着ようと思わなかった洋服に挑戦する。
そんなきっかけを与えてくれるパンツであるはずです。
今の僕らの生活スタイルだと、このコートはいつも通りバサっと適当に着るくらいがちょうどいい。
いつか違った着方を楽しめるように、似合うように歳をとることが出来たらいいなあ。
楽しみですね。
内覧会用にサンプルを用意しました。
ご興味ある方は是非羽織ってみてください。
無理に買う必要はありませんが、「こういうものもある。」と、なんとなく体感できることはとても楽しい経験だと思います。
若干26歳でイギリスの伝統へ正面切って戦いを挑み、サヴィル・ロウに変革をもたらした男:Tommy Nutter。
僕はこの写真を目にするたびに、初めて見た時の高揚感が蘇る。
そして「僕らももっとビビらずに前に進まなくては。」という後押しをもらい、彼の天才的感覚と自信を勝手に想像して、どうしようもない敗北感を改めて思い知らされる。
僕に世界や伝統を変える力は無いけど、自分の周りの環境くらいは自分の力で良い方向に変えていきたい。
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河上 尚哉
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