円と線
「河上さん、洋服作ったので見ていただけないでしょうか。。。」
と、物腰の柔らかい口調でMANHOLEオープン時より何度かサンプルを見せに来てくれていたO’DEMデザイナー:中村さん。
「自分が作った洋服を僕に見せるだけ見せて、結局製品は持ってこない。」
という謎の思わせぶり営業スタイルのまま一年が過ぎようとしたタイミングで、「河上さん、洋服作ったので見ていただけないでしょうか。。。」と物腰の柔らかい口調で、今年の7月にようやく製品を持ってきてくれた。
ウルトラスエードのカバーオール型のシャツジャケットと、バギーフレアトラウザーズ。
「河上さん、洋服作ったので見ていただけないでしょうか。。。」なんて物腰の柔らかい口調は完全にパフォーマンスで、その時は思いっきり納品するつもりで持ってきたのが” CUSTOMER : MANHOLE “としっかり印字されたタグから伝わってきた。
中村さんはちゃんと納品書も持ってきていた。
ちなみに僕がそのシャツジャケットとトラウザーズを見るのはその日が初めてである。
カバーオール型のシャツジャケットは僕が、バギーフレアトラウザーズは中台が買った。
物自体が良かった、というのはもちろんだけど、決め手はそこだけじゃない。
お店に来るたびに何故か楽しそうに買い物してくれて、文字通り自分の身を削りながら楽しそうに洋服を作っている中村さんが好きだからだ。
そういえば、MANHOLEというお店はそういう人の居場所や物置になるといいなあ、と思いながら作った空間でもある事を、O’DEMの洋服を見るたびに僕は思い出す。
そんな中村さんが「河上さん、洋服作ったので見ていただけないでしょうか。。。」と、いつもの調子で今日お店に現れた。
手にしていたのは” module “というモデル。
リファレンスはUK/パラシュート部隊のロングベスト。
ウルトラスエード特有の立体的なシルエット、つまんだタックが膨らむ丸みを帯びたデザインと、袖やポケット口のカッティングライン/斜めに伸びるジップアップの直線的なデザイン。
円と線で出来た彫刻的な美しさを感じる。
ジップのヘムが泳いでいるのも良い。
着方は簡単。羽織ればいい、だけ。
絶妙に便利ではないディテールの数々。ここまで来ると機能性に関しては清々しく諦めがつく。
着る人自身が、このベストの好きなところを一つずつ探していけるような洋服である。
O’DEMのmoduleは、MANHOLEで紹介することにした。
物自体が良かった、というのはもちろんだけど、決め手はそこだけじゃない。
物腰の柔らかい口調と、物腰の柔らかいフリが得意で。
文字通り自分の身を削りながら楽しそうに洋服を作っている中村さんが好きだからだ。
あ、楽しそうに買い物してくれるところも好きだ。
この洋服からは、中村さんが通ってきた道や人をしっかりと感じることが出来るような気がする。
そういえば、MANHOLEというお店はそういう人の居場所や物置になるといいなあ、と思いながら作った空間でもあることを、O’DEMの洋服を見るたびに僕は思い出す。
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河上 尚哉
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