4つポケット付きの何か
ポケット付きの洋服が好きだ。
4~5年前に購入したrenomaのマルチポケットブルゾンは今でも気に入っているし、半年前に自分で企画したドレスシャツには両胸ポケットを付けてしまうくらいだから。
実際にそのポケットを便利に使うかどうかは問題じゃない。ただ、その面構えが好きなんだと思う。
こんにちは、鶴田です。
ふっくらとしたアウター生地。両胸にフタ付きのポケットが見える。これは、いかにも鶴田好み。狭めのVゾーンやどんくさいラペルの形状もいい感じだ。
両胸、両腰、合わせて4つのパッチ&フラップポケットが付いた膝上丈のハーフコート?ロングジャケット?
m’s braqueらしく、各ディテールが何とも小気味よくツイストしている。湾曲したポケットフラップ、後ろに流れる肩線、伝統的なカバートコートに入るようなレイルロードステッチ…。上ふたつを掛ける3つボタン、という感じがコートにしては短めの着丈と相まってジャケットライクなバランスにも思える。つまり、ひとことでは言い表すことができない何か。
ジーロンラムウール80%、ナイロン20%を使ったライトな圧縮生地は表:ネイビー/裏:ブラウンのダブルフェイス。実際に着てみると、見た目の肉感から想像するよりもずっと軽い。
タンクトップの上からざっくりとジャケットライクに羽織った河上。背抜きのダブルフェイスなので、実際に着心地もライトな感じ。ロングジャケットみたいなバランス。
ネイビーという生真面目な色が4ポケットのボリュームやステッチのあしらいで、こうもアクティブな印象に変わるのか、と思う。まるでダッフルコートのようなカジュアルさ、ミリタリージャケットのような男っぽさ。しかし、ライトな着心地。
勿論、ニットを着る時期には第一ボタンまできちんと留めてアウターらしく。まだマフラーを巻かない12月くらいなら、これで十分。
杢グレーのニットや張りのあるチノパンと合わせて、ラフに。こんな着こなしも、堅苦しいネイビーコートではちょっと無理がある。チェスターコートでもない、ピーコートでもない、ダッフルコートでもない、ネイビーブレザーでもない、このアウターならではの楽しみ方。
鶴田はスーツの上からコートっぽく着用。
足元はスニーカーだし、アウターはこれくらいが丁度いい。
店頭ではお客さんに「これはジャケットですか?コートですか?」とよく訊かれる。僕らは「ジャケットとしてもコートとしても使えます」と答える。実際に、僕らが通常「ジャケット」と呼んでいる(スーツではない、上着単品のものを指す)アイテムは、昔ながらの英国式では「スポーツコート」と呼ばれたりもするわけだし。
冷たくなり始めた秋風。傾く日差し。
移り変わる季節の中で、ジャケットからコートに着替えるような感覚で自然と着こなし方を変えられるアウター。Vゾーンを飾るのはシャツ、カットソーからニットまで。本格的に寒くなればアクティブな4つポケットにはレザーグローブを無造作に突っ込んだりしてもいい。パンツはデニムでもジャージでもグレーフランネルでもいい。
つまり、このアイテムがジャケットなのかコートなのかスポーツコートなのかは、もはやどうでもいいんだと思う。かしこまり過ぎず、砕け過ぎず、大げさ過ぎず。ポケットが4つも付いているのに、袖口と裾にはステッチが4本も入っているのに、着丈は中途半端なのに、なぜかバランスが取れている。今の世の中、バランスが破綻している極端な洋服を無性にありがたがる向きも一部では見られるが、MANHOLEはそれだけに頼るショップを目指しているわけではない。
先日、河上が紹介した地味なグレーフランネルパンツもそうだけど、m’s braqueの、松下さんの中にあるこのバランス感覚が僕らに与えてくれるものは、ことのほか大きいと思う。一見普通に見えて、実は曲者。それでいて、ちゃんとカッコいい。こんなモノづくり、実は誰にもできないんだって。
4つポケット付きの(カッコいい)何か。
実際に、手に取って着てみてほしい。それが何であるかなんて関係ないくらいフツーにしっくりと来ます。
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鶴田 啓
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