熱を感じて



ノルウェー、オスロ発。重衣料のMTO(注文服)屋:BIBOJAの作る既製服。
イギリス製ウールギャバジンが裾でゆらゆらと動く、フレアトラウザーズ。
膝幅がほとんど絞られていないので「フレアトラウザーズ」という名前ではあるけれど、裾幅の広いストレートシルエットに近い。ワタリから下の印象に癖がない。

で、癖のないトラウザーズなんて山ほど存在する中で僕がこのパンツを選んだ、MANHOLEのお客さんに紹介したい理由はケツにある。いや、「ケツにある」だと語弊がある。腰回りにある。
「通常であればお尻が食い込んでいてもおかしくないヒップライン」なのに、このパンツにはそれがない。サイドポケットも開いていない。プリーツのないフロントに窮屈さを感じない。
MANHOLEで以前発売したノープリーツのトラウザーズ、そしてMANHOLEで何度も発売しているSADEのフレアトラウザーズ:PT09とは似ているようで全然違うパンツ。


試しに穿いてみれば、僕の「パンツが好き」という擦り切れそうな記事に幾度も登場している「繊細な違い」というのを感じられるはずだ。
加えて、このBIBOJAのパンツの素晴らしい点は、既製服であることだと、僕は思う。
大抵の場合、最初存在したであろう情熱が「既製服」という規格によりどんどん削り取られていってしまう。が、BIBOJAのトラウザーズはそんな「既製服ならではの限界」をまるで感じさせない作りをしている。デザイナーが美しいと思うトラウザーズを作るためのパターン、裁断、癖取り、縫製を経て、デザイナー自身が美しいと思うバランスに着地しているのが窺える。



一見、美しい生地で作られたクールなパンツ。が、その裏には情熱が隠されている。
「デザイナー自身が美しいと思うバランス」という、見えているけど道筋のわからない遠い遠い目的地に一度辿り着いたようなパンツなのではないだろうか。
理想を頭の中に思い描いた瞬間の気持ちと、その理想が物となり目の前に並ぶ瞬間の気持ち。
そこに差を生じさせない為の努力を想像させてくれる、実にロマンチックな洋服。

で、裾はアンフィニッシュです。なんでもいいからかっこいいのが良いという方は、お任せください。
ここはパーソナルな部分です、お好きにどうぞ。
一応裾の仕上げにも「デザイナーが理想とするバランス」があるようですが、それを超えてみるというのも既製服、更にインポートブランドの楽しいところだと、僕は思っています。
(例えば)注文を受ける人と注文する人という関係性の注文服。
企画する人、仕入れて売る人、それを買う人という関係性の既製服。
その違いは、その距離から生じる無責任さにある。
そして、一度他人に委ねられた既製服ならではの無責任さというのは物自体の奥行きでもある。

Color:RED, BLUE, BEIGE Size:36-44
¥86,900-(tax included)
重衣料の注文服屋が作った既製服としてのトラウザーズ。
このパンツはタイドアップしてジャケットを羽織る、というコーディネートにも当たり前のように合う。
裾幅が広いのでMANHOLEでオープン当初から提案している「鎌の高い、着丈の長いジャケット」とも相性が良いだろう。
ただ、まずはスウェットやカットソーなどと合わせてみてほしい。
ジャケットを羽織る時のインナーはタンクトップでも良いと思う。
まあ、正直言ってシャツでもニットでもなんでもいい。
なんでもいいからとにかく、着慣れているもので合わせてみてほしい。
仕立ての良いパンツを活かすのは、何も仕立てが良いものだけではない。
まずは「これが、いつも通りです」という態度でどうぞ。
BIBOJAの熱に負けないで。
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河上 尚哉
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