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スーツ、もといセットアップ


スーツ、もといセットアップのBLOGを書きます。吉田です。
と言いつつもこのBLOGにはスーツについての説明、形やディテール、ましてやドレスの歴史などの話は含まれません。なぜ含まれないかはみなさんならお分かりのことでしょう。


着て知ったことくらいしか知らないからです。
ちなみに洋服は知らなくても着れます。
知っていて着れなくなるよりも知らなくて着ている、着ていく内に知るくらいの方がなんか前向きでいいですよね。

パチパチパチパチ…



ぼくが初めてスーツ、もといセットアップを手に入れたのは、成人式のとき。
人より自分は服装に気を遣っている気がするぞ、凝るのが楽しいぞ、そんな自意識を持つ青年が晴れの舞台に臨むときにかっこつけたくなるのは当然のことのはず。周りにはファンタスティックな袴を着てくるような青年がさほど多くなかったせいもあり、とりあえずスーツ一択。
と思いつつ、じっさい成人式を「ちょっと久々みんな集まってお酒を飲みまくる日」と認識していた哀れなぼくは3年前の冬、わりかし直前になって成人式に着ていく服がないことに気がついた。


「河上さん……もうすぐ成人式なんですよね」
「おー、おめでとう」
「じつはスーツ持ってなくてですね…どうしたら良いでしょう」
「おお、そうか。うーん、まあ悠人ならいいのか」
そして数秒経ったのち、河上さんが持ってきてくれたのはこのジャケット。


「悠人が前に買ったSADEのパンツと同生地のジャケット。スーツじゃなくて共生地のセットアップ。パンツはスナップジャージのディテールだし、かなりふざけてるけど。。。まあ今は成人式はおろか結婚式でさえ、とんでもない格好で参列してる人も多いし、そこらへんでパッと手に入る着慣れないなんとか風スーツを無理矢理用意して着ていくよりもこれくらいが悠人らしくていいんじゃない?幸いジャケットはまとも。」

SADEのパンツとはこのパンツ



自分で「スーツ」と言った手前、いわゆる「スーツ」を想像していたけれど、このジャケットとあのパンツを上下で想像してみると当時ぼくの頭の中で何かが紐づいた感覚がありました。

当時の「ちょっと久々みんな集まってお酒を飲みまくる日(ハレ)」という前提も相まって、
なんというか、とりあえず「スーツ」の括弧が外れた感。
ああ、ぼくはとりあえずこれを「僕のスーツ」と呼ぼう。
それに、「セットアップ」という便利な言葉があるじゃないか!ということでたぶんこの時にぼくの中で実感としてスーツ ≒ 共生地のセットアップという流れができたんだと思います。
厳密にいうと違うんでしょうが、まあいいや!


ちなみにこのパンツの裾は2回くらい直しましたが今は3度目のボロボロ。穿きすぎ!
まつり縫いが取れたまま直さずに歩くとこうなる、そろそろまた直さねば。
ジャケットは今ぐらいの季節、たまに着ています。今のところそれくらいがちょうどいい。

今もこんな感じで適当に着ています。落ち着く。





次にぼくがスーツを手に入れたのは、大学の卒業式のとき。ついこの前のような、遠い記憶のような……。こんなに記憶が曖昧なのは、卒業式を終えてからもさっきの「僕のスーツ」を着まくっているせいなのかもしれない。

さっきまでの話を引き継げば、卒業式を控えたぼくは「スーツ」が欲しかった。括弧付きの、かっこいいやつ。当然のように「スーツ」をMANHOLEで買おうと思って店内を見回すも、「スーツ」はなかった。かっこいいジャケットはもちろんあったけど、「スーツ」はなかった。かといって他に行くアテもない哀れなぼくはダメ元で相談してみました。

「河上さん……もうすぐ卒業式なんですよね……」
「おー、おめでとう」
「じつはスーツが欲しいんですけど…ないですよね」
「うーん、今はジャケットしかないなあ。ちなみにいつ?」
「〇月〇日です」
「かっこいいスーツ、っていうかセットアップが入ってくる予定。前のSADEみたいなふざけた感じじゃなくて、ちゃんとセレモニーなやつ。もしかしたら間に合うかもしれない」

こう言われて、期待が膨らまないわけがないですよね。しかもぼくの卒業式に納期がギリギリっていうのもなんか良かった(関係ないけど)。


そして後日、ぼくの無理を通してくださり1セットだけ届いたのが、このスーツ。
JOHN LENNON SJK & WIDE TROUSERS。renomaのスーツ。
ちなみにベルトは河上さんが卒業祝いに買ってくれました。

このトラウザーズは、前にグレーのフランネルで一本買ってめちゃくちゃ気に入っていたので、同型/別生地、そして何よりそれに合うかっこいいジャケットが現れるというので非常に楽しみにしていました。たしか現物を目にするまでは写真も見ていなかったと思います。
そして初めて見たとき、いや着たときかな?

「これでオレはどこへでもゆけるぞ!」
そう思いましたね。正直。
「どんなハレの日だって、どんなパーティだって!招待どんと来い!」
そんな妄想が今のところ成就していないのはまた別のおはなし。ぼくを結婚式に招待してくれる人なんていないし、社交界デビューも今世では厳しそう。ただそれだけのおはなし。
唯一のハレ(?)の日、卒業式にはもちろん胸を張って着ていきましたが、式が終わり日が暮れる頃にははしゃぎすぎたのかせっかくの記憶があんまりなくて肝を冷やしたのもまた別のおはなし。

今はこんな感じで適当に着ています。落ち着く。


それとは別に、このスーツを着まくっているのは、ホントのおはなし。
嘘をつかぬように話すと、現状のぼくは圧倒的にトラウザーズのみを穿いていることの方が多い(上裸じゃありませんよ)。ジャケットは、たまに。
その証拠にまた裾がこれ。例に漏れず……

ピロンと伸びた一本の糸はこの後チョキン。こんな感じでこのスーツ、もといセットアップと付き合っています。
「これ、どうすればいいですか。。。」と河上さんに相談したところ「ロマンある丈にすると裾幅広いせいでこうなるよね。残布使って補強するしかないけど、そうなったらそうなったでちゃんと着てる感じがしていいんじゃない」と言っていました。


同じくこのパンツを穿き続けている河上さんとたびたび「同じの買い足したいですよね」と話していることを鑑みると、Uniform/制服 というイメージは、たしかに。と素直に頷けます。
長ったらしく誰も興味のないであろう思い出話を繰り広げてきましたが、やっとこさぼくにとってのスーツの実感を話す時が来ました。といってもすでにほぼ言い切ってしまったようなものなのですが。


これ以上長くなってしまうと貴重な読者の皆様に迷惑をかけてしまいそうなのでなるべく端的に、切れ味鋭く、努めます。

ぼくの中の「スーツ」から括弧が外れるときに、「楽さ」と「慣れ」が結びついたのは自分でも意外でした。
もちろん最初の方は、「スーツだぞ」と思って着ていましたよ。肩肘張っていたかもしれないし、もしかしたらぼくの猫背も伸びていたかもしれない。
すると今はどうでしょう。
あえて言うなら、「着るとかっこいい服」。こんなにも言葉にすると拍子抜けな感情もないけれど、たぶん本当にそう思って着ていると思います。自分でもこんな幼稚な表現をしてしまうくらい、意識せずに着ているんだと思いますある時点から。緊張がほぐれた、とか安心した、とかいうと逆にいかめしいイメージを強めてしまうような気もするのでやめます。

朝、タンクトップ着て、パンツ(このトラウザーズ)穿いて、ベルト締めて、テキトーなロンTとか着て、その上に自然とジャケットに手が伸びる時もある。その時考えていることと言えば、「朝ごはん食べすぎたな…」とか「マズイ電車に遅れる(もっぱらコレ)」とかですよ。

え、「スーツ」なのに!
と幻滅する方もいるでしょうか。それはもしかしたら幻なのかもしれません…。
スーツが「スーツ」であった時、それはそれで憧れるのも気持ちよかったけど、まあこれからも写真の中の「スーツ姿のこの人」とかに憧れることもあるかもしれないけれど、家に掛かっているぼくのスーツは括弧が外れてからの方がかっこよく付き合えている気がします。
はあ……せっかくのスーツなのにまたしょうもないダジャレに吸い込まれてしまった…。

“renoma” [MANHOLE EDITION]
– J.L SINGLE PEAKED – ¥165,000-(tax included)
– Pattes d’éléphant – [zipper fly] ¥75,900-(tax included)

DORMEUIL- ROYAL12, Savile Row count


スーツ、もといセットアップ。
河上さんにどう違うんですか?と聞いたところ「なんだろね。ジャケット、ベスト、トラウザーズの共生地3つ揃えがスーツっていう定義だと教わったけど、3つ揃えのスーツに時代感もないし、まともな形の共生地の上下をスーツって呼ぶようになってから暫く経つと思う。
そういう意味ではMANHOLEで並べるものはサイズに柔軟に対応する為に上下バラバラに買えるセットアップだし、ジャケットだけ欲しかったらジャケットだけ買ってもいいし、パンツだけ欲しかったらパンツだけ買ってもいい。
ただ、今回の企画は制服的な楽さが欲しいから作ったもの。だから今回俺は上下で揃える場合はスーツと呼ぶことにした。当時のrenomaやその顧客が崩す、いや、遊びながら切り開いてきたrenomaの2020年代のスーツ。」



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