2025/09

靴は靴


僕が17,8年前に革靴を履き始めた理由は「格好良い」から。
実際生まれて初めて目にした本格高級靴はどう履くかなんて考える必要がないほど、息を呑むくらい格好良かった。

最初の頃はイギリス靴に足を縦に折られそうになったりアメリカ靴に一生消えない魚の目を刻み込まれたりしましたが、今では革靴のことを革靴だと思わなくなりました。自分でも何を言っているのかは分かりませんが、それくらい僕にとって身近なものになったということです。それはこれからもきっと変わらないし、僕はまだまだ革靴のことを知らないし知りたい。が、それはあくまでも僕の話。


さて、MANHOLEに現行のスニーカーが並びます。
もちろん僕らにそんなつもりはありませんが、「とりあえず革靴を履いておけばかっこいい」みたいなのはちょっと違うかな、というか。その〜なんていえばいいんですかね。なんか違うバランスも見たい。

今回MANHOLEに届いたのは白いGT-2160。
仕入れた中台が「学生が履いていそうな、素朴な感じがいいと思ったんだよなあ」と言っています。
確かに、素朴という言葉がよく似合う靴だ。革靴のようなスニーカーではなく、革靴のように履けるスニーカーでもなくスニーカーをスニーカーとして履けるスニーカー。
そう、僕らは見慣れるとたまに違うバランスが見たくなる。その選択肢の一つをお店に並べてみた。
革靴を履く日もある、スニーカーを履く日もある、それだけのこと。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSC00907-2.jpg
“ASICS” [GT-2160] ¥15,400-(tax included)
Color:WHITE Size:26-28.5cm
release date : 09/18



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河上 尚哉

〒107-0062
東京都港区南青山4-1-3 セントラル青山003号室

M : info@manhole-store.com
T : 03 4283 8892

パンツが好き


僕は、パンツが好きだと思う。

まず、パンツを穿かないと外に出られない。
いや、仮に穿かずに外に出られるようになったとしても、僕はきっとパンツを穿いて外に出かけると思う。パンツのおかげで外に出ることが出来ている。パンツが無かったら僕は家でずっと漫画を読んでると思う。

僕は家の中ではほぼ半裸なので、パンツを穿いた時点で外に出かけるスイッチが入る。
ベルトが必要ないくらいのサイズ感のパンツを穿くとなんだか気分がいい。
中学生の頃に気にしていた、お尻がぷりぷりする感じもおじさんになった今はなんだか逆に気分がいい。あー、お尻ぷりぷりでよかった。
お尻ぷりぷりを気にしていたが故にウエストもヒップも大きいパンツをベルトで締め上げて穿くような穿き方は長い間やっていたせいか妙に落ち着く。
ウエストのサイズを気にするのすら面倒になったタイミングで手にしたイージーパンツは「これはイージーパンツです。」という名前によってちゃんとした物っぽく見えるけど、根本的にはウエストの大きいパンツをベルトで締め上げて穿く行為の拒否感を和らげる為の便利な洋服だと思う。好き。
「大きいパンツのウエスト余りを横に逃すとあまりもたつかない。」ということを昔発見した時はウエストさえ通ればどんなパンツだって穿けるような気がして楽しかった。
でも、これはミリタリーやスポーツウェア等のサイドアジャスターと同じ発想。
昔の人がちゃんとディテールとして形にしている。
もっと遡ればただの布をただの紐で固定していた名残。昔の人には敵わない。

一言に「パンツ」と言っても色々ある。
書き上げていくとキリがない。
頑張って書こうと思ったんだけどパンツがゲシュタルト崩壊を起こしそうになったからやめた。
そのパンツが作られた当時の「目的」の先に、シルエットやディテール/機能や当時の気分がある。

現代人の僕らは「昔から機能や目的、そして気分を元に作られてきた、目の前にある穿いたことのないパンツ/穿いたことのあるパンツ」を穿きながら日々洋服を着ることで。
今この時この場所で、自分が、隣にいる人が、あわよくば道行く大勢の内の誰か一人の気分が良くなるように過ごす事が出来る。
機能やシーンやディテールも全く関係がない、今は休日も平日すらも関係がなくなった東京の街で。
それが出来ることはなんて楽しく幸せで、なんて素敵なことなんだろうか。

今日も僕はパンツを穿いて外に出ている。
当たり前なんだけど、それを当たり前以上にする楽しさは自分で能動的に「穿くこと」でしか味わえない。




ノルウェー、オスロ発。重衣料のMTO(注文服)屋:BIBOJAの作る既製服。
今回はバギーシルエット。40でワタリ巾34.5cm、裾幅は32cmくらい。
広いワタリ、広い裾幅、太ももから繋がるように揺れる裾。

写真を見ているだけで楽しいけれど、穿くともっと楽しい。
裾幅/膝幅/ワタリ幅/ヒップ寸/プリーツの深さ/股上の深さ/クリースが入るか入らないか/裾の処理は何か。
そういう繊細な部分だけでもパンツは、変わる。
その上に生地や、作る上でのテクニック、ディテールなどが覆い被さる。
ただの「パンツ」なのに、なんて選択肢が多いんだろう。

パンツ選びで大切なのはシルエットやサイズではなく「穿く人がかっこよく穿けること」
そもそもシルエットの良し悪しの基準って一体、何?



バギートラウザーズなんて山ほど存在する中で僕がこのパンツを選んだ、MANHOLEのお客さんに紹介したい理由はケツにある。いや、「ケツにある」だと語弊がある。腰回りにある。
「通常であればお尻が食い込んでいてもおかしくないヒップライン」なのに、このパンツにはそれがない。サイドポケットも開いていない。プリーツのないフロントに窮屈さを感じない。
で、その「ピッタリとしたヒップライン」だからこそワタリから繋がるように裾が揺れる。
MANHOLEで以前発売したノープリーツのトラウザーズ、そしてMANHOLEで何度も発売しているSADEのバギートラウザーズ:PT10とは似ているようで全然違うパンツ。
きっとしばらく続く裾幅の広いパンツの流れを途切れさせず、飽きさせず、流行り廃りで終わらせない「何か」があるパンツだと思います。




「裾幅の広いパンツ」が売り場に飽和する中で、お客さんの口からも「裾幅の広いパンツはたくさん持ってるので。」という言葉がちらほら聞こえるようになりました。
ただ、僕たちは昔から裾幅の広いパンツを穿いていた。
「細いパンツや太いパンツ」が売り場に飽和する中でも、無理矢理裾幅の広いパンツを探して穿いていた。

それでも、まだ、飽きない。
十数年前と履いてる靴、合わせてる洋服も違う。
数年前と履いてる靴、合わせてる洋服も違う。
更に、一概に「パンツ」と言っても。
裾幅/膝幅/ワタリ幅/ヒップ寸/プリーツの深さ/股上の深さ/クリースが入るか入らないか/裾の処理は何か。
そういう繊細な部分だけでもパンツは、変わる。
その上に生地や、作る上でのテクニック、ディテールなどが覆い被さる。
ただのパンツなのに、なんて選択肢が多いんだろう。

結局、飽きる飽きないはその「繊細な部分」から生まれる違いをどれだけ楽しめるかに左右されるのではないだろうか。
結局、流行に流されるか流されないかは、流行の入り口からどれだけ深くその物を好きになれたかに左右されるのではないだろうか。
洋服の場合はその上に「その人の体型が生み出すシルエット」と「その人が持っているもの」と「その人が好きなもの」などが覆い被さる。更に「自分の感覚の外側にある物」を受け入れ始めたら、そのただのパンツの選択肢は広がり続ける。
結局、飽きるか飽きないかは全部自分次第で、目の前の物のせいではないのだろう。


“Biboja” – High Waist Baggy Trousers –
Color:BLACK-ST Size:36,38,40,42,44
¥79,200-(tax included)


僕は、飽きてもいいと思っている。
別にパンツのシルエットが太かろうが細かろうがフレアしてようがストレートだろうテーパードだろうがスキニーだろうが、その時穿きたいものをその時穿きたいように穿ければなんでもいい。

ただ、いつか飽きるのであればとことんやりきってから飽きたい。
僕らには暇な時間しかない。
その時間を何かに注ぎ込むことで、暇な時間は何か別の時間にきっと、変わる。


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河上 尚哉

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どかどか


CLASS、どかっと入ってきました。どかっとした内容です。


ウールのビッグボタンダウン。内側にはコットンネルが張られてポカポカ暖かそうな感じ。
最早コートといっても差し支えはないでしょう。
エプロンでも紹介したLirya社の5者混のカリカリした生地と、デッキパンツでも使われていたDormeuil社製黒のバラシア。


リバーシブルのウールのM41フィールドジャケット。
本来の表面は黒のウールシルクで裏で着ると袖通りが滑らか、本来の裏面はネイビーフランネルで裏で着ると暖か。リファレンスの複雑で厳(いかめ)しい肩周りも忠実、忠実だけど別物。

で、ネイビーフランネルのテーパードトラウザーズ。
パッと見は普通なんだけど、やっぱりそんなことしないと作らないCLASS。



Lyria社製カリカリとした5者混の生地、のロングジレ。
ベストに対して冷静な僕の制止を振り切って禅野君が仕入れていました。
短いもの、もっと長いもの、合わせてみてください。


CLASSのコレクションに度々登場するダックストップアジャスター付きのショーツ。
エプロンにも使われていたDormeuil社製ダブルフェイストニックのチャコールグレー、先ほどのビッグボタンダウンにも使われている黒のバラシア。
夏の短パンのバランスに慣れて寒くなってもショーツを手放せない、手放したくないあなた(僕)へ。



そして、静かな大迫力のステンカラーコート。裏地や袖裏まで全てDormeuil社製の黒のバラシア。
めちゃくちゃかっこいい生地を身に纏う潔さ。


と、気に入りすぎて再生産してもらったパーフェクトTフーディ
これは「売れておしまい」だと勿体無い企画だから、しばらくお店に並べておきたい。
吊るしてある、というか禅野くんが着ているのは僕が3月から7月まで毎日洗濯乾燥機に突っ込みながら着ていた物です。
黒を着る日が8割、白を着る日が2割くらいだったので黒の方がクタクタ。
納品されたピカピカの物を見ても別に羨ましくならないくらい強靭なROYAL ORGANIC COTTON COMPACT JERSEY。



以上、どかっとした内容。
というか、CLASS以外にもどかどか入ってきていてBlogで何から紹介していいかわからないです。
みなさん、遊びに来てください。

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Reverso Belt



楽しみにしていたベルトが届きました。Dechamps : Reverso Belt。
見えていようが見えていなかろうが、確かに「ウエストを固定する以外の目的」がそこにある。


ピンレスでリバーシブル、というわけで色や革の組み替えが可能。
最初はその組み合わせを考えるのが楽しかったけど、次第に考えるのが楽しくなくなってきたところで黒と茶色を選ぶことにしました。色気があるものはまずは慣れた色で。


黒のSwift Leatherと黒のSwift Leatherのコンビネーション。
表裏黒で同じ革、というのはラグジュアリーブランドによく見る地味に贅沢な仕様だと思っています。
また、Reverso Beltは先に書いた通りリバーシブル仕様。
「リバーシブルだけどリバーシブルしない、けど気付いたらリバーシブルしていた」みたいな、雑な我々にとって嬉しい組み合わせ。


茶色はBarenia、赤はSwift Leather。
赤を表にせずとも、身につけている自分と気付いた誰かが楽しんでくれそうな配色。
で、サイズはXS-SとM-Lの2サイズ展開。
ウェスト33インチの僕でXS-Sで長さが足りるくらいなので、33インチ以下の方はXS-Sを、それ以上の方はM-Lを、という選び方で問題ないと思います。

” Dechamps ” – Reverso Belt –
Size:XS-S, M-L Color:BLACK/BLACK, BROWN/RED
¥88,000-(tax included)



例えば、適当なカットソーを着て穿き慣れているパンツを穿いて穿き慣れている革靴を履いて外に出かける、みたいな飾り気のない装いに気分の良さや自信を足してくれるのが僕にとってのベルト。

イギリス製のブライドルレザーを使用してロンドンの工房で作られるKingsley Walters Studioのベルトでそれを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
で、フランス製のSwift LeatherやBareniaを使用してフランスのアトリエで作られるDechampsのベルトはKWSのものとはまたわかりやすく雰囲気が変わる。同じカットソー、同じパンツ、同じ革靴を合わせたとしても。
これはどっちが良くてどっちが悪いという話ではなく、そういう日もあってそういう日もあるという話。

まあ、ウエストを固定できればなんでもいいのかもしれませんが、そのなんでもいいという選択肢が「今日はこれがいい」と変わるのは楽しい。

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紺と金


こんにちは。禅野です。

昨日の夜、河上さんと中台さんが2人でMANHOLEに揃っていたので「紺と金ってどんなイメージがありますか?」と聞いたところ、河上さんは「Zガンダムのティターンズカラーだな」と、中台さんは「俺が学生の頃に使ってたadidasのエナメルバッグの色だわ」と、言っていました。
いや、なんかもっとこう違う回答が欲しいんですが、、、って顔をしてたら、2人とも「まあ俺らには俺らの言葉があるから、こうしくんはこうしくんのイメージを書けばいいんじゃない」ってそれっぽいことを言いながらみんなでご飯を食べに行きました。楽しかったです。

さて、そんなわけで今日は紺と金。
ニコラスデイリーのプルオーバーフーディ。


宇宙おじさんSUN RAの名盤『Space is the Place』。
初めて聴いたとき、正直「なんだこれ」でした。
よくわからないお祭り騒ぎのような曲。サックスは叫ぶし、コーラスは呪文みたいだし。
特にジャズの知識なんて持ち合わせていなかった僕が理解できるはずはないと承知の上で、それでも分かるようになってみたかったんです。

19歳の頃、ジャズの名盤を聴き漁っていた時期で、ジャズに明るい人たちはみんな口を揃えて「聴け!」と言ってきたので、勉強のつもりで聴いてみました。
1回目だけでなく、2回目、3回目と聴いていくうちに、当時の僕は「これが宇宙なんだ!」と無理やり納得した記憶があります。
あれから10年弱経ちましたが、今でも心の底から楽しむことはできません。
相変わらず意味はわからないけど、「意味がわからないまま過ごせること」自体が宇宙っぽいのかもしれません。


ホルガー・シューカイ、ミヒャエル・カローリ、イルミン・シュミット、ヤキ・リーベツァイト、ダモ鈴木という編成の黄金期。4枚目にして、クラウトロックの伝説・CANの最高傑作に挙げられる名盤です。
アンビエンスを纏った浮遊音響ミニマル・ロックは、正に唯一無二。

『Future Days』を初めて聴いたのは20歳の頃。もともとブラックミュージックばかり聴いていた僕には、スタンダードなロックよりも、クラウトロックの黒さを帯びた方がしっくりきました。
最初に聴くと「これロック?ジャズ?何?」となりますが、しっかり聴き込むと実はすごくシンプルなことをしているアルバムです。ゆったりしたビートの上に、淡いメロディと控えめなサウンドが積み重なっているだけ。でも、その“積み重なり方”が絶妙で、浮遊感がとても気持ちいい。
いつ聴いても気づいたら曲が終わっていて、つい入り込みすぎてしまいます…。


DEVON RUSSELLの『Move On Up』。
CURTIS MAYFIELDの『Move On Up』も知っていて、このアルバム自体を聴いたことはあったのですが、この手のソウルレゲエってどれも似たような曲ばかりで、あまり記憶に残らないんですよね…。
でもある日、朝方クラブで遊んでいるときにこの曲が流れて、「あ〜朝方まで残ってよかったー」と思った記憶があります。もちろん次の日は後悔するんですけどね。
音楽と自分のテンションがバチっとハマった瞬間は、気持ちいい!
結局このアルバムも、何をどう説明するかは難しい。ただ体感として、間違いなく気持ちよかった一曲です。
『Move On Up』は、僕にとって日常のちょっとしたハイライトのような音楽です。



カラー名は”MIDNIGHT”。まさにその表現がぴったりな、夜空と星のような配色のデザインです。少し紫がかったネイビーで、濃いネイビーよりも夜っぽさを感じます。宇宙寄りの夜空、そんなイメージ。
SUN RAやCAN、DEVON RUSSELLたちが、スペイシーな音楽にこの配色のジャケットを採用したように、言葉では表現しきれない、ふわっとしたイメージを大切にしたい。

音楽も服も、直接説明できない“気持ちよさ”や“宇宙感”みたいなものを、ただ感じる瞬間が一番贅沢なのかもしれません。

NICHOLAS DALEY -ROOTS ROCK REGGAE KLUB HOODIE-
Color:MIDNIGHT Size:M,L
¥48,400-(tax included)


で、何よりも洋服として大切な「着て格好いい」という要素ももちろん感じることが出来る。
フードの形も、がっしりとした生地も、ステッチの色も、普段は「なくてもいいかな」と思ってしまうプリントも。



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禅野 晃士

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