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2025/10


シャツ。シャツは自分にとって「着たいな」というタイミングと「全然着たくない」というタイミングが分かれている洋服で、今はどちらかというと「着たい」寄りのタイミングですね。
ただ、探すまでもなく目の前にあったら着たいな、くらいの感じ。
というわけで今期は目の前に「いいな」と思うシャツがあったら仕入れるようにしています。
このFIGARET PARISのシャツ:Carlもそんな感じ。スタンドカラーの開襟リネンシャツ。

で、「ヨーロッパでは秋冬も普通にリネンのシャツを着る」みたいな話はおいておいて、気候のイカれた日本においても割とスタンダードな感覚になりつつあるのではないでしょうか。秋冬にリネン。
ここで非常に個人的な話をすると僕は夏に着るリネントップスは湿度を吸い込んでベタベタするので湿度の少ない時期に着るリネンが好きです。パンツは我慢できる、というかリネンのパンツを風が冷たい時期に着ると普通に寒いので「リネン≒今の日本における通年素材」というより「リネンのトップス≒今の日本における通年素材」のようなニュアンスでしょうか。

まあ、そんな現実的な話もおいておいて。
単純にリネンのケバシャリした感じと秋冬のもけっとした感じの組み合わせは悪くない。


さて、FIGARET PARIS。
1968年に創業したフランスのシャツ専業ブランド。
今回MANHOLEで仕入れたのはどうやらFIGARET PARISではストーリー溢れるアイコニックな形のようだ。
「Carl」と名付けられた襟幅3.5cmの立ち襟、そしてトップボタンを廃した開襟仕様。

-The Carl shirt is named after a customer who suggested the idea during a visit to our flagship store on Rue de la Paix. This is the story of a refined man whose input we valued when designing this open-necked shirt, now named after him. Its straight, open collar (3.5cm, neither too thin nor too wide) complements fabrics such as poplin, oxford, linen, or even denim beautifully.


で、Carl。
「創業60年近いシャツ専業ブランドが作ったそれ」というよりも「デザイナーズブランドが作ったそれ」のように見える顔付きがとてもいいな、と僕は感じました。

つまり、このシャツから感じるのは伝統的な何か、ではなく、もっと個人的な何か。

思えば、FIGARET PARISが創業した1960年代はそういう時代だったのかもしれません。
「人は自分が生まれついた階級に一生とどまっていなければならない」という前提を吹き飛ばしてしまった戦争。それが終結することにより「父親と同じ格好をする子供」から「父親と違う格好をする子供」へ徐々に移り変わっていった1930年代から1950年代。
すなわち、若者達にとって「自分が着る物は自分で選ぶ時代」が訪れました。
退屈な毎日を少しでも楽しく過ごすための音楽、服装、映画、場所。


「じゃあ、悠人あと書いておいて〜」と言いながら河上さんは外に出かけていきました。
MANHOLEに取り残された吉田は考えます・・・・・・
このシャツが「創業60年近いシャツ専業ブランドが作ったそれ」だということは事実。
しかし河上さんには「デザイナーズブランドが作ったそれ」のような顔つきがよく見えた。
でも結局じつは「創業60年近いシャツ専業ブランドが作ったそれ」です。

創業60年-フランス-専業 、そう聞くと「正しい着方」なるものがあり則らないといけないのかもしれない、そんな知識不足(たとえばぼくのような)から来る不安があるかもしれない。
でもいったん、「これ、カッコいい!」と素朴に直感するものとして所謂デザイナーズブランドのパワーみたいなものをフィルターにかけてみると、あら不思議。
創業60年-フランス-専業 のいかめしさが翻ってとてつもない寛容さに見えてくるではないか。
この銅像、ちょっとくすぐったところで何も感じないでしょうね、じゃ、勝手にやらしてもらいます。
そう、このシャツは歴史あるシャツブランドが作った極めて個人的なシャツ。
勝手にやらせてもらうくらいがちょうどいい。


「Carlさんと話していて生まれたんです、このシャツ。良いでしょう?」
そんな風にも読めるオフィシャル説明。
「おぉ、良いですね!」
こんな風に応えたい。


ぼくは個人的に「リネンシャツ」と聞くとある友人を思い出す。
彼は冗談めかしてリネンハンターを称していた気がする。アイツならどうするだろう、とりあえず砂漠をラクダと闊歩している姿が浮かんできた……アイツは参考にならない。

Carlさんはどんな感じに着ていたんだろう?


もし中がふつうのドレスシャツだったら、タックインをしないとなんとなく心の収まりが悪いかもしれないこんな着方も、できる。というか自然にすることが出来る、そんな軽やかさ。
「シャツは本来肌着なんだから、タックインしないとダメだよ」とか誰かに言われても「いや、これはカールさんのシャツなのでそういうのはどうでもいいです。タックインしたい時はするし、したくない時はしません」


もしいつもの白TがCarlだったら……
そんな極端な想像をしてみても、それがいささか極端ではないことに気付かされるだけなのかもしれません。

ケバシャリリネンが盛夏に出会うことの無かった素材、形、なんの気なしに出会って良さそうです。


とは言いつつも、やっぱり納得佇まい。クラシックな色気。
「まあ、そりゃあ創業約60年のシャツ専業ブランドの作るシャツですからね」
その時々に都合よく開き直る、そんな軽率さも微笑んでくれそうなシャツです、Carl。
自分の都合の良いようにどうぞ。

” FIGARET PARIS” – CARL –
Size : L, XL ¥36,300- (tax included)


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Signature



涼しいと思ったら暑くなる、涼しいと思ったら歩くと汗だくになる。
そう、僕は11月中頃までは残暑だと思っています。
つまり、何を着て出かけていいかわからない。こんにちは。河上です。
そんな時期を一枚で、あるいは何かを羽織りながら楽しむことの出来る洋服:renomaのL.G.2。
「2」という名の通り、2025年春夏シーズンに出ていたrenomaのシグネチャーロゴTシャツ「L.G.」の長袖バージョン。

生地は長袖という仕様に合わせてアップデート。
たくさん着た結果、個人的に非常に気に入っているROYAL ORGANIC COTTON COMPACT JERSEY
で、renoma:L.G.シリーズの最大の特徴はVゾーンからちょうど覗くように配されたシグネチャーロゴ。
位置のせいか「プリントロゴ」というデザインではなくトロンプルイユ的な違和感ある印象。



座右の銘はバタフライエフェクト、吉田です。

「風が吹けば桶屋が儲かる」、というよりも「バタフライエフェクト」を好むのは、細かなニュアンスの違いというよりもrenomaのロンT:L.G-2 着用時、両鎖骨がそれぞれ胸骨に出会うちょうどそのあたりに刷られたロゴがちょうちょのように見えたからなのかも知れません。


ただのいい感じの白ロンT、に見えますね。実は、いい感じの白ロンTってびっくりするくらい無いのでこの時点で既にキてるのはここだけのお話。
同生地のパーカーを経てこの生地の良さを知ってしまっている方であれば、「ただの」とも言い難いでしょうか。それとも自分だけが見つけたイイモノを他人に隠しちゃう的な習性であえて「ただの」というでしょうか。



Vゾーン、ってすごく的確でわかりやすい言葉ですね。
確かに、どのアルファベットかって言われたらVなところに、アール。

ワンポイントロゴTなんて、巷には溢れるほどあります。その程度によっては、無地とおんなじくらいに捉えていることだってありそう。
でも、稀に「なにかしらのロゴ」を抜け出て「良い形のプリント」になってるヤツがある。なってる、というかそう見えるだけなんですがね。

ウソくせーと思われるのもアレなのでここらでいったん断っておきますが、ぼくも普段はこんなこと考えていません。しかし、仮にも何かをみなさんに紹介するとなると、たとえほぼ「ただのロンT」に近いようなものでも、見えてくるんですね〜

このL.G-2 も、生地が良く形も良いロングスリーブカットソー、プラスでちょこんとロゴ。で十分なのは十二分に分かってます。

でもきっと、もし友人が何も知らないぼくの前にこのロンTを着て現れたらたぶん「何それ」と訊いてしまうんだろう、でももうこれがrenomaのシグネチャーだということは知ってしまっているから、せめてこのBLOGの上だけでもはしゃぎたい。


だってもうタイニーなリボンにも見えてきたし……


もっとも収まりよくネックレスがぶら下がれる予定位置にも見えてきたし……



いろんな想像ができるのに、
ひとたびこの想像力が働いてしまったらとりあえず何かしらを象ってしまう⤴︎
しかし、「もしこれが無かったら」これだけは思考停止と判断したのか、考えさせてくれない。これはありがたい意地悪さなのかもしれません!

” renoma ” – L.G-2 –
Color : BLACK, WHITE. Size : 1, 2, 3
¥27,500- (tax included)


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NICENESSのフーディ、FARRELL。

希少な旧式編み機「アズマ編み機」を使⽤したヘビーウェイトの裏毛素材を使用したスウェットフーディー。3種類の異なる編み地を組み合わせ、職⼈が⼿作業でエイジング加⼯を施しています。素材の膨らみや柔らかさに加え、ドライな質感も兼ね備えており、ヴィンテージスウェットを思わせる仕上がりに。1970年代のスポーツウェアのディテールを参考に、フードのパターンやポケット形状、袖・裾のリブの仕様まで再構築されています。

NICENESS OFFICIAL HPより引用

すばらしい形のフード、柔らか。

パーツによって異なる編み地。
エイジングのグラデーション。

背面の三角、はめ込みガゼット。

ダブルフェイス、裏地はサーマルのやつ。



MANHOLEでは、NAVYとBLACKの2色展開。

NICENESSのフーディ、という前情報が無い状態で、さらにはいわゆるビンテージのスウェットなどと同じラックに混ざって並んでいる、そんな状況があったなら。あくまで想像ですが、たぶん、20mくらい離れたところから眺めていたら「おお、ビンテージが揃ってるな。なんか不自然に大きいのもあるな」
どれどれ、どんなのがあるのかな、と近づきひとつひとつ物色しているうちに、
「おやおや?」

なぜか。
いちばん簡単なのは「これはビンテージではなくNICENESSだから」で、間違いありません。
当然だけどあまりにもあっけなさすぎるのであえて言い換えてみると、
ふたつの間には時の隔たりがあるということですね。
あるスウェットは、なが〜い時を越えて今そこにあるから「ビンテージのスウェット」になる。
つまりできたてホヤホヤのときは名実ともに「ただのスウェット」だった。
このフーディ:FARRELL は、時を越えていない。NICENESSはいまモノづくりをしているから。
さっきのような単純新旧ロジックに則ると、「ただのスウェット」と呼んでもいいはずだけど……



流石にそこまでバカなふりはできませぬ。
このフーディは、成立した瞬間からただならぬ。それは冒頭に引用した商品説明からも分かるとおり。
ディテールやデザインを構築するためにきっとさまざまなリファレンスで遡り、
それを調整したり壊したり繋ぎ合わせたりして形づくり、
その形の本体となる生地の作り方も選び抜き、
できたてホヤホヤはアッツアッツで早まって一口に放り込んでしまった時には上を向いて口を半開き、口の中でコロコロ転がしながら湯気をハッフハフするしかない………………ちっヤケドしちゃったよ
…………じゃなくて。
3種類の異なる編み地を組み合わせて、職人さんがエイジング加工を施す。
洋服にエイジング、聞き慣れていればスッと入ってくるかも知れませんが、考えてみれば時の流れをギューンと早めて(いるように見せ)る、ということですよね。
つまり、ビンテージのスウェットの世界線で考えるとNICENESSのフーディはビンテージと呼べるかも知れない。
いや、おかしくないか?
FARRELLの(製品としての)完成点は、ただならぬ工程を経た後。
ビンテージの(もともとの)完成点は「ただのスウェット」。時を経てさまざまな価値判断のもと、ビンテージと呼ばれることになる。
どんなにビンテージの要素を抽出しようが、褪色の具合や風合いが似ていようが、
気づけば「NICENESSのフーディ、FARRELLである」という今ここにたどり着いてしまうという……グゥ〜!



「玉子焼(明石焼)」「なにわのたこ焼き」「ソースのたこ焼き」

読み進めていくと、たこやきへの造詣が深まるにつれて無限にハラがへっていくという伝説のシステムを内包するバイブル:『たこやき』を読み始めると、まえがきとしてまず 現存する三種のたこやきについて という章に出会うことになる。

個人的には、現在ダントツでマイナーだと思われる、醤油味の生地で他に何もつけずに素手でポイっと放り込むソリッド「なにわのたこ焼き」が気になります。明石焼は一度だけ食べた記憶がありまして、木の板にペタンと等間隔に載って出てきて、熱々のそれを冷たいおだしにつけて食べる。おいしかった気がする(グゥ〜)。しかし!この明石焼きも当初はおだしにつける習慣がなかったらしい!それがいつの間にか、おだしにつけて味に豊かさを加えると共に少し冷まして食べやすくする、という何とも理にかなった食べ方を引っ提げて存在していたらしい。詳しくはまだ読んでません。でもやっぱりたこやきってスゴイなあ。おなか減ったなあ。
どうせこのちょうどいい気温の季節もすぐ終わるんだから、一丁前に時たま暑さをリバウンドさせてないで、思い切って冬になってもいいんですよ?



「コイツ、なんだかんだでまだ全然『たこやき』読み進めてないな?」

そんな詮索はいいですから、
NICENESSのフーディ、FARRELLと過ごす時を想像してみてはいかがでしょうか?
離れられなくなりそう。
ピカピカのスウェットのような大きさ、気の利いたバランス、ふわふわ柔らかな着心地。
現行のデザイナーズブランドがデザインする生地の迫力、NICENESSのフーディ:FARRELL。





” NICENESS ” – FARRELL [DISTRESSED SWEAT HOODIE]-
Color : NAVY, BLACK Size : M, L
¥96,800- (tax included)



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優しい黒


FRANK LEDERのWASHED WOOL 1TUCK TROUSERS。

極めて個人的な感想ですが、このブランドの良いところの一つに「高い洋服である一方で着るのに気負わない」という点が挙げられます。
つまり、多少の傷や汚れやシワや毛玉は心のダメージにならない。
それどころか、そうなることが自然である顔付き。

彼はかつて黒の梳毛ウールで側章付きのタキシードのようなセットアップを作っていたこともありますが、そのセットアップでさえジャケットはしわしわよれよれ、パンツはクリースが抜けてふにゃふにゃくらいな方が格好良かったな。当時の売り場で「なんか偉そうに見える洋服」や「なんか仕事出来そうな洋服」に囲まれていたせいか、尚更輝いて見えた。
「まあ、男なんてこんくらいでもいいんだよ」みたいな感じ。もちろん、時と場合によるけど。


で、今回のWASHED WOOL 1TUCK TROUSERS。
黒いウールのワイドスラックスに見る凛とした感じ、というよりもなんかもうちょっと柔らかな顔つき。その柔らかな顔つきの理由は、名前の通り甘撚りのウールツイルに洗いをかけて起毛させた生地によるもの。で、フェルトウールや縮絨ウールのような目的あるウールと違い「なんか洗っちゃった」みたいなうっかりした柔らかさ。
「シワなくホコリなく穿く」という格好良さを求めて作られた洋服ではなく「まあ、こんくらいでもいいんだよ」という格好良さを求めて作られた洋服。

“FRANK LEDER” – WASHED WOOL 1TUCK TROUSERS –
Color:BLACK Size:XS, S, M ¥96,800-(tax included)


背筋を伸ばして着る洋服の格好良さを感じられるならば、背筋を丸めて着る洋服の格好良さがあってもいいはずだ。つまり、人間が魅力的に見える瞬間は別に胸を張っている時にだけ訪れるわけではないということを認めてくれる。優しい洋服。


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河上 尚哉

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例えば、レザーライダースを中に着ても尚余裕。
大ぶりのダッフルコートすらただのフーディ扱い。
Dormeuil社製の黒のバラシアを「めちゃくちゃ大きいボタンダウンシャツ」にした洋服:CCFA02UNI A。

かつて「オーバーサイズ」だったバランスが普通になった今、この洋服は2025年的オーバーサイズ。
ただ、「オーバーサイズが飽きたからもっと大きくしちゃお!」といった回り道を経て作られたものではなく、CLASSのデザインチームの内側に普通に存在する「こういうめちゃくちゃ大きいのも良いよね」という感覚をまっすぐに形にしたのが今のタイミング。

そう、一見難解に思えるCLASSのモノづくりは実は驚くほど素直だ。
軸にあるのは常に普通。
CLASSは普通を避けているのではない、ただ普通の隣にいる。

“CLASS” -CCFA02UNI A-
Color:BLACK Size:2 ¥145,200-(tax included)



と、いうわけで普通にどうぞ。
どうせ、いつか普通になる。

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