2、3年前だったか、ある秋の日、ぼくは(確か)中台さんにこう言われました。
「おまえ、またピーじゃん!」
確かに、その時ぼくはピーでした。デニムのピー。
「また」というのはぼくが普段からカーキのピーだったし、茶色い厚手のピーだったりもしたからです。
「たしかに‥またピーですね」
と、何故かちょっと照れくさそうに答えました。
たぶん自分ではそれまで気付いていなかったからなのでしょう。無意識の好みって、思いがけず人に言い当てられると、なんだか恥ずかしいですにょね。恥ずかしさを思い出して、にょね、なんて打ち間違えてしまいました、よね。
とにかく、ぼくはピーが好きみたいです。
というわけで、NICENESSのピーです。
型名は、I.D.MCLAGAN。
インディゴ染めされた、メルトンのピーコートです。100% ウール。
やっぱりぼくはピーコートが好きです。
なんで好きなのかな、と考えてみましたが都合よくひねりの効いた理由は思いつきません。
ふつうに、形が好きです。
でっかい襟が好きだし、ボタンがちょこちょこ並んでいるのも好きです。
閉めてもいいし、開けてガバッと着てもいいのが好きです。
スマートな雰囲気もありつつ、意外とゆったりしていて適当なところが好きです。
いやはや、こんなにまっすぐに気持ちをぶつけると、また恥ずかしくなってきますね。
照れ隠しに、もう(ピーーー)とか(ピーーーー)とか言っちゃいたくなります。
このピー、ピー好きのぼくに言わせると、ただのピーではありません。
と聞くと、あたかもぼくがこのピーについて知り尽くしていたかのように思えるかもしれませんが、
決してそうではありません。
「あーこのピーかっこいいピーなー」こんな感じでボケーっと羽織りました。
鏡を見て、「やっぱりいいピーなー」と思いました。
まず驚いたのは、生地のなめらかさ。
「メルトン」と聞いてまず想像するのは、あのあのガシガシした生地の感じ。
しかしこのメルトンは、しっかり厚みがあるのに、なめらか‥とても気持ちいいです。
そしておもむろに手をポッケに突っ込んだり、襟やボタンをまさぐってみたり‥
やっと「あ、これはただのピーではないピー‥!」と気づけたわけです。
丁度突っ込みたい位置に、ハンドウォーマーポケット。
入り口にはしなやかなレザー。
そして内部には暖かみのあるコーデュロイ。
至れり尽くせり。
手どころか心まで(ピーー)です。
サイドのフラップ付きポケット。
内部にはもはや当たり前のようにコーデュロイ。
フラップには色気のある裏地が施されています。
ぴぃ‥っと一息
それどころじゃないピー。
襟です。立てました。
大きくてかわいいメルトンの裏地には、全面にこれまたしなやかな牛革が貼られています。
ぼくがこれまで見てきた襟裏史上、最も存在感があります。
「うぉっ‥」
襟の裏に圧倒される日が来ようとは‥ぼくもまだまだ(ピーー)ですね。
まあそれもそのはず、お許しを。この襟裏にはまだ秘密があるのですから。
インディゴピーコート、その名の通りインディゴ染めされたピーコートなのですが、
なんとレザーにもインディゴ染めが施されているのです。
革の茶色、というだけでは到底説明しきれない、不思議な色味です。少し紫がかっているような‥
なんだか魔力を感じます。
もう、デニム履いてコレ羽織ればいいや!
と思わせてくれさえする、Pのあるピーコート。
POWER
様々な国のピーコートの歴史を紐解き、それぞれの要素を厳選して現代的に再構築した13スターピーコート。
(NICENESS Official Website より引用 : https://www.niceness.jp/products/i-d-mclagan/)
ぼくのピーコート好きは、はじめ自分で気付いていなかったくらいですから、とても直感的で根拠のようなものは無かったわけですが、このピーコートの背景には、歴史があったようです。
歴史という大きな背景から、なめらかな生地、ポケットや襟の細かなところまで。
今日は、どうやらぼくはピーコートが好きらしい。という所から出発し、このただならぬピーコートを紹介してきました。
★ミ
ピーコートが苦手、という方ではなく僕のようにピーコートが好きな方でも「おっ、これは特別なピーコートだな。うん」と、感じられるピーコートです。
苦手を克服するよりも、好きを後押ししてくれる洋服。
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