MANHOLEは大体暇なくせに従業員だけは多い。
おそらく。いや、おそらくというか確実に、書いても集客や売上に全く直結しない当Blogや中々結果の出ないオンラインストアに時間と手間をかけ過ぎているせいだとは思うんだけど、とりあえず習慣は習慣として、継続は力なり、石の上にも三年、塵も積もれば山となる、千里の道も一歩から、雨垂れ石を穿つという言葉を信じて、というのを言い訳に暇を潰している。本音を言えばすぐに結果が欲しい、石の上どころかどこにいてもじっとできない、塵が積もったらすぐに掃除したい、千里の道は飛行機に乗る、雨垂れ石を穿つ結果がオープン当初から止まらない入り口付近の水漏れの原因なので出来れば雨垂れごと無くしたい。けれど、やっていて楽しいうちはまあ悪くないですね。
さて、例の如く暇だったので買ったまま積み上げている写真集をパラパラとめくっていたら、Sunil Guptaの作品:Christopher Streetの1ページ目の写真に目が止まった。
「わ、こんなベルト欲しい〜!」
というわけで、たまたまアプローチが来ていたロンドンのKingsley Walters Studioに制作を依頼することにしました。まずはバックル探しから。
この巨大バックルに合うベルトの幅は45mmだそうなので、45mmの太幅ベルトが完成しました。
レザーはUKブライドルレザー。ブライドルレザーならではのブルーム(白い油脂分)が顔を出しますが、気にしなくても大丈夫だし気になったら磨いてください。あ、あと最初は独特の香りがします。
今、店中この匂い。
ロンドンの工房、自国生産に拘った原材料。と聞くとクラフトマンシップ溢れる重たい仕上がりになりそうですが、このベルトから受け取る印象はまた違ったそれですね。良いバランス。
華奢なベルトに慣れている方にこそ試してほしい。
「こんな大きなバックル、こんな太いベルト締めたことないです」という方ほど、楽しめるのではないでしょうか。まずは普段通りのバランスでどうぞ。
華奢なベルトと比較して腰回りががっしりと固定される感じ。
見た目は太いですが、ベルトループの幅が5cm以上あれば通ります。いや、5.5cmあれば確実に。
で、サイズ選びは素直に選んで大丈夫だと思います。
ウェスト30インチの方は30を。ウェスト32インチの方は32インチを、お選びください。
29/31/33インチの方やローライズのパンツと合わせたい方は1インチアップするといいかもしれません。
仮に革が伸びなくとも穴は足せますね。ウェスト33インチの僕で34インチ。
で「トップスに隠れるのが味気ないなあ」と感じてきたらローライズのパンツなど試してみてはいかがでしょうか。ベルト一つで全身のバランスが変わる。楽しいと思います。
三年経った石の上、宇宙に届く塵、とっくに追い越した千里、既に原型のない石。
先人たちが過ごした時間の上に暮らしている我々現代人は圧倒的な余裕がある。
のであれば「何か考えないとな〜」という結果生まれたものではなく、気持ちに余裕がある状態で考えついたもの。その自然さをもう少し大切にしていきたい。
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河上 尚哉
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洗いざらしのサックスブルーのネルシャツをなびかせながら、チネリのヴィンテージロードバイクはチャイナタウン特有のスパイスの香りが漂うネオンの中をChelseaへ向かって進んでいた。Air PodsからはOlbass All Bass 004(140 bpm)が流れている。「おいおい。今夜は信号によくつかまるなぁ。」ウィルはコーデュロイトラウザーズからI-Phoneを取り出し、いつもの癖でsatellite trackerのアプリをタップした。やはり街の灯りが煌めくマンハッタンのような都市ではstarlink trainは拝めそうにない。信号が青に変わり、気を取り直しウィルはChelseaへ向かって再びペダルを漕ぎ始めた。
密かに動向を追っていたスタイリスト猪塚さんのプロジェクト、K8.0。
猪塚さんの気まぐれなのか、MANHOLEでも取り扱うことになりました。
たぶん新作である”N.Y.C Trousers”。
MANHOLEのラインナップの中では、ごくニュートラルなバランスで、シンプルながら異色の存在感を放っている。
軽やかで柔らかい太畝親子コーデュロイが心地よく、ほとんどストレートに近い緩やかなテーパードシルエットに新鮮な印象を覚える。
シンプルだけど細やかなデザインが行き届いた、スタイリストとして長年活躍している猪塚さんらしい、丁寧でミニマルな仕上がり。
腰で穿いて裾に溜まる感じ。
真面目に穿いてもクールなパンツだけど、ルーズに穿くのがMANHOLEらしいかも。
サラッとシャツを羽織ってみたり。
コートから覗くシルエットも、ワイドすぎるパンツに慣れた僕らには超新鮮。
忘れていた感覚が戻ってきました。
勝手な憶測だけど、猪塚さんのモノづくりはイメージから始まっているんじゃないかなあ、と思う。
頭の中にある、人や景色、空気感など。
色んな引き出しをあけて、気分の赴くままに表現する。
そんな気がしてならない。
奇しくもNYで古着を仕入れている僕らとリンクするイメージ。
確かにマンハッタンの街並みによく似合うパンツだと思う。
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中台 竜郎
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近づいては離れ、離れては近づき、これぞ現代日本の秋。
涼しーいィ!と思った翌朝にはなんだか蒸し暑いな‥みたいな感じですよね。
ま、どうせ「うーん秋ですねえ〜」なんて言ってると、気付かぬうちに通り過ぎて冬が来るんですけどね。
さて、今日はそんな2.5季くらいになりつつある日本にぴったりな洋服の紹介です。
「またそんな都合がいいこと‥‥」
SADEから、BL06です。型番だけ言われてもなんのこっちゃですよね。
BlackとBeigeの2色展開。色によって生地も違います。
Blackは100%ウール。Beigeは100%ポリエステル。
形は一緒、でも生地が違う。これがまたとっても都合がいいんですね。
まず黒、100%ウール。こちらを便宜上「シャツみたいにも着れるジャケット」と呼びましょう。
さっそく見ていきましょう。
黒、ウール100%です。
お気づきでしょうか、シャドウストライプ。静かにカッコいい、良い柄です。
ウールと言っても、ガッツリ真冬の分厚いウールではなく、どちらかと言えば薄手のしなやかなウールです。
生地の雰囲気、光沢や柔らかな皺の入り方、写真から伝わってきますね。
あ、そしてちょっと不思議な位置に、胸ポケットがふたつ。
開襟
襟にもシャドウストライプがチラッと
ウール、軽やか〜
ボタンはスナップ
パチパチっと留めてください
裏地の背中には、生地の耳。
耳が背骨みたいになってますね。フフッ
覚えていますでしょうか、「シャツみたいにも着れるジャケット」と呼びましたよね。
ウールだし、ガバッと羽織れるし、とりあえず一番外側に着るでしょう!
という意味です。
コーデュロイパンツ穿いて、モヘアのニット着て、BL06。
薄手のニットに薄手のウールジャケット。
暑くなったら脱げばいいし、冷えたらまた着ればいい。脱いでもそこまでかさばらない。
当たり前のように聞こえますが、服を着る際、こういう自然な便利さは大事ですよね。
はい、コレがジャケットパターン。
もちろん、シャツとしても着ることができます。
BL06に、レザーコートをON
見るからに格好良いアウターを着たいけれど、なんかインナーが釣り合わないかな?
そんな時は「シャツみたいにも着れるジャケット」
‥シャツジャケットって、便利な言葉ですね
お次は、ポリエステル100%、ベージュ。
もうみなさんには何を言おうとしているかバレバレだと思いますが、こっちはどちらかと言えば
「ジャケットみたいにも着れるシャツ」です。
当たり前ですが、言わずにはいられません。
黒とベージュって、印象がかなり違いますね。さらに生地の違い。
アームホールの太さや、立体的な縫製が際立ちますね。
ベージュもかっこいい。
袖のスナップボタン。
白くて丸くて可愛いです
これもぜひパチっとしてください
パチパチ
チェックのジャケットの中に、BL06。
とても雰囲気のある、ポリエステルの、シャツ。
SADE、ベージュポリセットアップにまた別のチェックジャケット。
「ジャケットみたいにも着れるシャツ」
というわけで、
ウールのカーディガンの外に、BL06。
ジャケットみたいに、着ています。
ノーベルトで穿くと、ウエストのかわいい3つボタンがあらわになりましたね。
最後に、その上にかっこいいレザーを羽織っちゃいます、と。
「シャツみたいにも着れるジャケット」「ジャケットみたいにも着れるシャツ」
皆さん、どっちがどっちか覚えていますでしょうか。
雰囲気のあるウールだから、前者。しなやかなポリエステルだから、後者。というわけでした。
が、しかし。これはあくまで「こんな感じがきやすいかも知れませんよ〜」という便宜上のもの。
間違いはないのですが、別にそんな分け方をしなくても全く問題ありません。
「なんだよ急に!」‥‥はい、すみません。
でも、そうですよね。
どっちをジャケットとして着たって、どっちをシャツとして着たって、良いです。
「着たいように着ることができます」ということですね。
シャツジャケットに都合なんてありません!
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吉田 悠人
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熊本県に生まれ、小学校から18歳までずっと公立の学校に通っていました、鶴田です。そして、中学校~高校時代の制服は学ランでした、鶴田です。大人になるまで、ネイビーブレザーやダッフルコートに対して漠然とした憧れを抱いていたのは、学生時代にそんな学ラン人生を送ってきたからかもしれない。
熊本出身の僕、千葉出身の中台、静岡出身のしゅうや、富山出身のぜんのこうし君。馬刺し、落花生、お茶、ホタルイカに混じって、河上だけは東京生まれの都会っ子、しかも中高一貫の私立校出身。制服の上から学校指定のPコートを着ていたそうです。僕は学ランの上には何も着ていませんでした。アウター代わりのマフラーだけが許されていました。
ことの発端は今朝の会話。
「河上の高校って、制服の上にダッフルコート着てた?」
「いや、うちはPコートでした」
「Pコート!」
僕がそんな質問をしたのは、今日のお題が写真上のダッフルコート「WETTON」だから。ダッフルコートと聞いて「漁師」「英国海軍」というキーワードの他に思い浮かぶのは「学校の制服」、つまり学校指定のダッフルコート。というわけで、傍にいた河上に「制服の上にダッフルコート着てた?」と訊いてみたところ、答えはまさかのPコート…。それはそれで、育ちが良さそうだな。
ところで、なぜダッフルコートやPコートは品行方正に見えるのでしょうか?それは、たぶん「紺色」だからだと思う。学ランは「黒」でしょ?
そして、何故、ダッフルコートにしてもPコートにしても「海軍アイテム」だけが学校の制服に導入されるのでしょうか?しつこく調べれば分かるのかもしれませんが、そこまでの気力は無いので諦めます。でも、たしかに「陸軍・空軍アイテム」だとイヤだもんな。学ランの上にM-65、MA-1。もはや愚連隊。
やっぱり、学生らしく、清く正しく美しい高校生活には「紺色」の「海軍アイテム」がよく似合う気がする。それにしても、さぁ、どうしましょうか?結構な文章量を書いたのに、まだアイテムの説明を一切しておらず。とりあえず、どことなくフレンチなムードが漂うグッドボーイルックから始めてみましょう。
鮮やかなブルーのカシミアマフラーに、ブレザー、ニットタイ、フラノパンツ、そしてダッフルコート。上品ですね。奇をてらわず、普通に着ても十分にその良さが伝わってきます。カサカサ、ゴワゴワではない梳毛のSuper120sを使用した二重織りメルトンはしっとり、なめらか。
お次は、中&太畝の親子コールパンツを中心に少しナードなアイテムでコーディネート。
ブラウンやグリーンにも良く似合います。やっぱり、ネイビー最強説。トグル留めの部分にはフランス・HAAS社のアルザスレザーがどっしりと構えている。
麻ひもに木製トグルが取り付けられた海軍ダッフルに比べると、レザー紐+水牛ホーン仕様のトグルはシティでお坊ちゃんな印象。やっぱり上品だ。
そうそう、もう一人。MANHOLE内の東京出身といえば、ゆうと。彼の高校も制服はブレザーだったはず。本日お休みの彼にDMで「高校時代はブレザーの上に何着てた?」と訊いてみたところ「式典の時などは、普通にブレザーの上からロングコートを着てました」と返信が来た。横にいた河上が「たしか、ゆうとが高校のころに着てたコートってNAMACHEKOじゃなかったかな…」と呟いた。くそう、都会っ子め。
そういえば、一昔前までは「卒業式では好きな人から制服のボタン(ブレザーや学ランなどに付いているメタルボタン)をもらう」という習慣がありましたよね。いまもあるのかな…?
このトグルボタン、取り外すことができるんです。
根本からスポン、と。
トグル、全部とれちゃいました。卒業式の昇降口で後輩女子からモテまくり、の図。
トグルだけじゃなく、フードも取り外しできちゃいます。
トグルもフードも外してしまえば、ダッフル感50%減、大人の男のコートになった。この支配からの、卒業。
そういえば、30年前。メンノンのページをペラペラとめくっていたら、連載ページにエルメスオレンジのダッフルコートを着た藤原ヒロシが写っていた。寒い冬にダッフルコートを着て原宿辺り風を切って歩いてるオザケンの渋谷系も遥か遠くに思えたが、エルメスのダッフルコートをさらっと着た裏原ボスキャラを前にして、学ラン姿の僕は熊本でひとり下唇を噛んでいた。くそう、都会っ子め。しかし、さっきなんとなく調べてみたら藤原ヒロシは三重県出身だった。なんだ、うどんじゃん。河上とゆうとのほうが都会っ子じゃん。
なんて、地方出身者の鬱屈したコンプレックスはどこ吹く風、NICENESSの「WETTON」はダッフルコートとしてボーイッシュに着ても、トグル&フードをはずして大人な感じで羽織っても、どっちみちまっすぐだ。良いものは良い。まるでNICENESSみたいじゃん。
「これ、普通に良いコートですけど、なにか?」
そんな顔で自信たっぷりに原宿辺り風を切って歩けば、表参道に差し掛かる頃はトグルが全部なくなっちゃうくらいモテるってばよ。本当に良いコートは、全ての都道府県民に優しい。勿論、デニムにもコーデュロイにもジャージにもスウェットにもベルベットにも優しい。ただ、普通に着ればいい。ダッフルコート、都会っ子。この支配からの、卒業。
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「間」って、不思議な力がありますよね。間の魔力。ママリョク。
「今の、いい間だったね〜」と聞いたり、言ったりしても、
「なんで?どこが?」と聞かれたら、言葉にするのは難しいですよね。
しかし
「今の、ちょっと早かったね」「いや〜それは遅いよ〜」という指摘ってありますよね。
まるで完璧な間というのが元々あって、そこから外れているのが見えているみたいな言い方ですよね。
でも誰もがそういう風に間を矢で狙うように考えているわけないですよね。考えている人はそりゃいるでしょうけど‥だって面白いですもんね間。
「間が悪い」って「運が悪い」って意味を持つらしいんですが、なんか腑に落ちますね。
誰にも分からないけど、どこからともなく訪れて‥後から見たら、「運が良かったね」と。
「いや〜あの人の運は実力のうちだよ」なんてパターンもある訳ですよね。
いやはや〜こんな話では間が持てません!
というわけで本日は、SADEの新作パンツ、PT22の紹介です。
グレーとベージュの2色展開。素材は100% ポリエステル。
このパンツ、「いい間」なんです。
もとより、この場合は「あいだ」と呼んだ方が正確なのかも知れません。
まずはベージュ。
合わせる色を選ばない、オールマイティーカラー代表選手。グレーとツートップみたいな感じでしょうか。まあスタメンでしょう。
太めに開いたような裾が柔らかでいいですね。まあるくカーブ。
ウエストは紐で絞れるイージー仕様。
スッって穿いてキュって絞って、穿きやすい。
コレです、間。
パイピングとか、側章とか、言うこともできるんでしょうか?
でもなんかそうじゃないような気がする。うーん、コレってなんて言うんだろう‥
「間が空いている」っていう感じか。ラインが2本あるけど、その間の存在感。
裾にかけて曲線を描くライン。間がふわりと開けていっている感じですね。
クルーン
パ
クルーンって確かめちゃくちゃ球速い人でしたよね
「間」にばかり目が行っていましたが、その間があるおかげで、裾に高低差ができています。
派手じゃないけど、繊細なギャップですね。
グレーの後ろ姿
こちらのラインは藤色のような、絶妙な色。
線の存在感。
もはやどこが間なのかもあやふやになりそうです。
もしかしたら、「間」を形作る「線」こそ、不思議な魅力を醸しているのかも‥?
これぞ、曲線美
すそ(外側)
すそ(内側)
実は一瞬、外側と内側を
くるぶし側と股側って言おうとしたんですが、くるぶしって内にも外にもあったんですね
イージーウエストにシャツをイン
してもウエストがスッキリして見えるのは、ゴムとゴムの間空間があるからでしょう。
間空間?
どうぞコートの裾から、出してみてください
レザーに、ポリパンツ
軽やかに立ち上がりましょう。
「フレアパンツが欲しいんです」「ジャージ探してるんですよ」「やっぱりバギーパンツかなあ」
と探しても、もしかしたらこのPT22には辿り着けないのかも知れません。
コレ!という名前が見当たりませんからね(名付けようとしなかったからかも?)。
ふんわり全体像が掴めないままっていうのも良いかも知れませんね。
「あ、いい間!」という瞬間は掴んだはずです。
良いですね、ママリョクパンツ。
ちなみに僕が穿いているのは2色ともSize:3。腰を落としたり落とさなかったり。
ウェストドローコード、レングスはそこまで長くないので、大体の方はSize:3で穿けると思います。
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